でも、もしそう言われたら、Google先生にお願いしてテンプレートを探して使うと思います。
仕事の条件が過不足なく記載できるか?
まず、雛形を確認するときに大事になるのは、その雛形で、これから受注しようと思う仕事の条件が、過不足なく記載できるかどうかです。
何が、「仕事の条件」なのかについては、連載の第1回目を確認ください!
まずは、連載第1回の内容を復習しつつ、雛形のチェック項目を確認しましょう。
①契約の当事者欄に書く情報は十分か?
これが書かれていないと、そもそも、発注者と受注者が契約書上確定しませんので、記載欄がない契約書はほぼないでしょう。
多くの雛形では、契約書の最後に、発注者と受注者の住所、会社名と代表者(個人の場合は氏名)記載と捺印部分があります。
会社名や氏名だけですと、当事者が確定できない場合があるので、しっかり住所も書きましょう。
また、お仕事の話を紹介してくれた人と、実際の発注者が別な場合もあるので、誰が発注者か確定し、契約書にもしっかり記載しましょう。
②仕様の確定や完成基準、本番環境へのアップまでの作業分担は明示できるか?
具体的にどのような仕様のサイトを、どのレベルまで(完成条件)で仕上げるのか、リリースは誰がやるかなど、後になって「これもお願いします」と言われて困らないように、しっかり記載できるかどうかを確認しましょう。
仕様自体は、契約書に書くと長くなってしまうので、「別紙に定める」などの形にする場合が多いと思います。
作業内容を明確にしないと、実際作業が始まった後に、「これ自分の仕事じゃないよ!」という内容までやることになる可能性がありますので、注意しましょう。
③報酬基準・支払い時期や条件についての条項があるか?
支払いが納品後なのか、請求書発行後なのかといった支払い時期、報酬金額はいくらなのかなどをしっかり書けるか確認しましょう。
また次の項目でも説明していますが、報酬についての定めを十分決めておくことは、気持ちよく仕事をするために重要です。
④納品物の著作権に関する条項があるか?
Webサイト作成にかかるドキュメントやイラストには、著作権という権利が、作成者であるフリーランスに発生します。
この権利を発注者に譲渡するのかいなかを決めておかないと、後になってトラブルの原因になります。
雛形の多くは、著作権は発注者に譲渡する形になっています。もし、譲渡してしまうと困るものがある場合には、譲渡対象から除外するなどの修正が必要です。
受注者側に不利な条件、達成できない条件がないか?
次に確認すべきなのは、契約書の中に、受注者=フリーランス側に不利な条件がないかどうかです。
雛形の中には、発注者側に有利なように作られています。必要以上に不利な条件で契約をしないように、気をつけるポイントを解説します。
「ここがおかしい!」と思ったら、発注者に送る前に修正しましょうね。
例えば、下記のようなポイントに気をつけましょう!
①瑕疵担保期間がとても長く、いつまでも補修を要求されないか?
納品後、いつまでも「ここ直してください」と言われ続けるのは辛すぎますよね!
私の経験上、瑕疵担保期間は、90日〜長くても数ヶ月の見るものが多いので、それ以上長いものは、修正すべきです。
もし、完成後のフォローが必要な場合には、別途保守契約を締結して、フォローについても、適正な料金をもらえるようにしましょう。
②仕事の完成から報酬支払いまでが長すぎないか?
お金を払う発注側は、出来るだけ支払いを後回しにしたいものです。
ですので、雛形が発注者側に有利なものである場合には、支払いが納品後数ヶ月先になっていたりするものがあります。
一方で、受注側は、出来るだけ早く支払いが欲しいものです。
多くみられる形式は、納品後1ヶ月とするものや、請求書発行があった月の翌月末日などです。それ以上長い期間を設定している場合、修正すべきです。
③譲渡できない権利まで譲渡していないか?
Webサイトの作成時には、Wordpressをはじめとして、色々なツールを使うと思います。
そのような、第三者のツールの権利まで譲渡するような条項がないか、確認しましょう。
また、Webサイト制作の契約書雛形の中には、「所有権」を譲渡するという条項があるものがあります。
でも、「所有権」というのは、パソコンそのものやキーボードといった、「実体のある物体」に対して生じるものです。ですので、データのやり取りであるWeb制作業務において、「所有権」はどこにも出てきません!
もし、Web制作業務の契約で使おうと思っている雛形に、「所有権」の条項があったら、そっと削除しましょう。
「自分では雛形カスタマイズできないよ!」と思ったら
契約書は、普段見慣れない言葉で書いてあるので、慣れないとカスタマイズするのも難しいですよね。
そんな時は、自分一人で悩まずに、周りに相談することをお勧めします!
経験豊富なフリーランスの先輩であれば、よく使う雛形を持っていることもあります。
また、やはり、契約書作成のプロは、弁護士です。
手前味噌で恐縮ですが、弁護士は、仕事がトラブった時にどうなるかを、最悪の事態である裁判まで知っています。
その最悪の事態を避けるために、契約の段階からどうすれば良いかを考え、契約書を作ることが、一番のトラブル回避と言えるでしょう。
長くフリーランスを続けるためにも、一度は弁護士に契約書チェックをしてもらうこと、できれば自分用に雛形を作ってもらうのがお勧めです。
まとめ
今回は、契約書の雛形のチェック方法を説明しました。
連載第1回で確認した4つのポイントや、フリーランス側に不利もしくは実現できないような条件がないかの確認が必要です。
普段目にしない言葉が多いので、最初は慣れないかもしれませんが、長くフリーランスをしていくためには必要な知識です。
適宜弁護士などの外部の力を借りて、適切な雛形を使い、トラブルを事前に回避できるようにしましょう!