「治験に通いながらゼロからプログラミングを勉強してサービスを作ったんです」マルチプレーヤーの情熱を支える理念とは。 かずたかさん 突撃インタビューvol.6

突撃フリーランスインタビューでは、現役で活躍しているフリーランスのリアルや意外な素顔に迫っていきます!

かずたか
【ゲストプロフィール】かずたか(@kazutaka_dev 
マーケのコンサルを新卒半年で辞め、プログラミング素人から完全独学でプロダクト作って起業。
最近創業した会社を退任して、フリーランスのマーケッター、エンジニアに。
たまに学校講師や、プロボクサーもやります。
自身がプログラミングを独学した経験をTwitternoteで発信中。

初芝
【インタビュアープロフィール】初芝賢(@hatushiba_ken
東京フリーランス編集長。現在はシステム開発のPMや新規事業に携わる一方で、フリーランスライターとして出版・キャッチコピー・WEBメディア連載などを手掛けている。東京フリーランスではインタビュアーや司会進行を務めることが多い。

目の前のことに没頭した学生時代


初芝
かずたかさんは学生時代からプログラミングをされていたんですか?

かずたか
いえ、学生時代はほとんどしていませんでしたね。
一応プログラミングの授業もあったんですけど、教授がコードを印刷してそれを打つだけという内容で(笑)。
全く身につかない写経でした。
かずたか
そもそも、理系で物理を専攻していたんですけど、ほとんど学校に出てなかったんです。
二年まではひたすらボクシングをやっていたりして。
ボクシングをやめた後は、「一番苦手なものを克服できたら自信になるな」と思って一年間ほど英語を猛勉強していました。
そうやって自分で目標を立ててそれに没頭するという学生生活でしたね。
初芝
なるほど…。
その頃はまだキャリア形成と言うより、目の前の目標に一生懸命だったんですね。

のちのSAGOJO社長との出会い

初芝
かずたかさんは旅人と企業をマッチングする「すごい旅人求人サイト」SAGOJOCOOをやられていましたけど、そのきっかけは何だったのでしょうか?
かずたか
同じ学校で先に社会人になった先輩に「一回おいでよ」と誘われてイベントに参加したんですね。
その時に、大手企業の新規事業担当の方と話す機会があって。
そこで話していたら「君に凄く雰囲気似てる人がシェアハウスにいるからおいでよ」と言われたんです。
それで遊びに行って紹介されたのが、のちのSAGOJO社長だったという形です。
初芝
誘い方も凄いし、行く方も凄いですね!(笑)
僕だったら怖くていけないかもです。
それでSAGOJOを始めたんですか?
かずたか
いえ、その時はまだSAGOJOは影も形もありませんでした。
その社長がやっていた旅行系メディアのお手伝いをしていたという形です。
なので、新卒では違う会社のWEBマーケティングのコンサルタントになりました。
初芝
そうなんですね!
でも、その後に会社を辞めてSAGOJOの事業を始めたんですよね?
どのような経緯でSAGOJOを始めたのでしょうか?
かずたか
僕が新卒入社する前、学生時代からSAGOJOの構想は社長たちと作り上げていたんですね。
毎日議論してブラッシュアップしたり。
そうやって事業計画が練られていくうちに、「この事業はいけそうだから、会社にした方がいいな。むしろ、したい!」と思うようになっていったんです。
それで、元いた会社の社長ともよく話した上で、九月には会社を辞めてSAGOJOをスタートしました。

「仕事を楽しくしたい」という想いから、新規事業に飛び込む。

初芝
新卒で入った会社を辞めて、できたてのサービスに賭けるのって怖くありませんでしたか?
かずたか
僕は「仕事を楽しくしたい」という理念を強く持っていて、それを実現できる仕事をしたいとずっと思っていたんです。
で、仕事を楽しくするのは“自由度”だと思っていて。いつ、どこで、何をやるかという。
僕は、「SAGOJOなら、旅をしながら仕事をできる世界を作れるかもしれない」と思えるようになっていったんです。
なので、怖いとかはあまりなく、SAGOJOをやりたすぎて仕事に集中できなくなっていました(笑)
初芝
そこまで理念で動ける人ってなかなかいないですよね。
かずたかさんは普段の発信を見ていても理念の人という印象があります。
初芝
スタートアップならではの苦労はありましたか?
かずたか
SAGOJOには三人いたんですけど、入社時点でフルコミットしていたのは自分だけという人手不足がありました(笑)
代表も取締役も他の仕事をしていて。
エンジニアも見つかっていなかったんです。
初芝
え!
でもSAGOJOはWEBサービスですよね?
そんな状況でどうサービスを作っていったんですか?そもそも、その状況って収益化できているフェーズだったんですか?
かずたか
いえ、お金も人もなかったので、治験に行きながらゼロからプログラミングを勉強しました。
初芝
!?

治験に通いつつ、ゼロからプログラミング学習を開始


かずたか
初めはSAGOJOからのお金がなかったから、フリーランスのマーケターとして週二ほどで働きつつ、ゼロからプログラミングを勉強してサービスを作っていました。
けど、作っていくうちに、「SAGOJOでやりたいことを実現しようとしたら、プログラミングにフルコミットするしかないな」と気づいて。
そうしたときに見つけたのが治験だったんですね。

かずたか
ジェネリック薬品を飲んで10日間、毎日採血検査されるものだったんですけど。
それでたしか20万円くらい貰えて。
治験用の建物に拘束されて外には出られないんですけど、PCは持ち込みOKだったんです。
だから、「勉強しながらお金もらえる最高の環境だな」と思って。
初芝
たしかに、それだけ聞くと勉強するのにうってつけの環境に見えますね…。
かずたか
なので、施設内でひたすらプログラミングしていました。
施設着のままSkypeミーティングとかしていたんので会社の人間からは笑われましたけどね(笑)
初芝
この記事読んで治験始める人多そう…!
治験にはリスクもあります。この記事は安易な治験への参加を促すものではありません。

「基礎を固めて即実践」という学習スタイル

初芝
とんでもない環境でプログラミング勉強を始めたかずたかさんですが、ちなみにどの言語を勉強したんですか?
かずたか
Railsですね。
Progateの創業メンバーと知り合いなんですけど、その人からRailsを勧められて。
初芝
社内にエンジニアもいない状態でどうやって勉強しましたか?
かずたか
Progateをやって基礎を固めてからは、すぐに事業で必要なサイトを作り始めました。
事前登録を促すティザーサイト(情報を随時小出しにしていくサイト)を作ったりとか。
ペライチくらいのレベルなんですけどね。DBに登録してメールを送らせるくらいの機能で。
今思うとRailsいるかって感じなんですけど(笑)
初芝
おお……。
でも、未経験者一人だけだとトラブルとかありませんでしたか?
かずたか
ありました(笑)
開発をローカル環境で行って、そのまま動作確認もしていたんですね。
で、ティザーサイトのリリース前日に本番環境で確認したら動かなくって(笑)
初芝
確認のタイミングがギリギリ!
かずたか
もう本当に焦って。
Facebookで知ってるエンジニアさん三名に「助けてください!」と連絡しました。
で、その人のオフィスに行ってカフェで教えてもらいながら、なんとかリリースできました。
初芝
なんとかなってよかったですね!
背筋が凍りそうなエピソードです…。
かずたか
でも、「なんとかしないといけない状況ある」というのは成長するのにとてもいいと思いましたね。
社長も取締役も編集だったから、「エンジニアリング部分は自分がやらなきゃ」と思っていて。
もともと前職ではマーケター兼ディレクターをしていたので、ITについて知らないわけではなかったですしね。
それから翌年、2018年4月まではがっつりエンジニアとして働いていました。

プログラミングを学んだことで、視野がかなり広がった

初芝
聞けば聞くほどかずたかさんはマルチプレーヤーですよね。
プログラミングもマーケティングも広告運用もできて、ディレクターの経験もある。
そんなかずたかさんにとって、メインはなんでしょうか?
かずたか
PM(プロダクトマネージャー)がメインですね。
特に、プログラミングをやっていたことが強みになっています。
技術者とのコミュニケーションも取れるし、経営的な発想もできるので。
プログラミングをしたことで視野がかなり広がりましたね。
初芝
僕も前職エンジニアなので、プログラミングがコミュニケーションをスムーズにするというのはとてもわかります。
共通言語があるとかなり楽ですよね。
でも、それだけ色んな事ができると、「スポットでこれを手伝って!」というのも多いのではないでしょうか?
かずたか
ありますね。でも、SAGOJOがあるので結構断ってきました。
この間(2019年5月)辞めたので、今だったら大丈夫なんですけど。
初芝
依頼はどんなものが多いですか?
かずたか
WEBサイトやWEBサービスのコンサルティングや、リスティング広告の運用、WEBサイトの制作とかいろいろですね。
初芝
本当に色々ですね!

たくさん依頼が来るのは、「自分で事業を始めたから」


初芝
そんな多様な依頼が来るようになった理由はどこにあるのでしょう?

かずたか
自分で事業を始めたことで、色んな会社の人・事業の意思決定者と知り合えたのが一番大きいですね。
マーケティングとエンジニアリング両方やってたことで、「WEBで困ったらあいつ」と覚えてもらえるようになったんです。
それで、WEBの便利屋として様々なお話を頂いています。
初芝
自分で事業を始めたのが最高の営業になったんですね。

Twitterのフォロワーを急速に伸ばした戦略とは

初芝
かずたかさんはリアルでの引き合いがあるだけでなく、Twitterフォロワー数も約8000人と多いですよね。
それも、去年急速に伸びた印象です。
マーケターとして、Twitterのフォロワーを伸ばす戦略は何かあったのでしょうか?
かずたか
そもそもTwitterを始めた目的は、「文章を書くことに慣れる」「フォロワー数を伸ばす」の二つでした。
フォロワー数を伸ばす戦略についてですが、「伸ばしやすいテーマでつぶやく」ことに決めていました。
そのために、自分の得意ジャンル×伸びやすそうなジャンルの掛け算が効くところを調べました
かずたか
具体的には、ツイートのデータを分析して、「フォロワーが少ないわりにバズってるツイートが多いジャンル」がどこかを調べたんです。
バズったツイートの単語をデータ分析して。
そしたら「プログラミング学習」というキーワードに行きついたので、そのテーマについて発信するようにしました。
初芝
すごく戦略的ですね!
実際、「かずたかさん=プログラミングの人」ってなってますしね。
戦略がハマったように見えます。
かずたか
でも、「文章を上手くする」という目標についてはイマイチで(笑)
140字しかないからあまり練習にはならなくって
なので今年からはnoteにチャレンジしています。
初芝
noteも早速成果出ていますよね!
しょっちゅうバズってましたし、公式に認められてフィーチャーされてましたし。
本当に多才だなーと思ってよく見ています。

仕事が来る状態を作るには、実績を早めに作るべし!

初芝
それだけ色んなことをやっているかずたかさんも、ついに完全独立してフリーランスになりましたよね。
これまでも引き合いは多かったと思うのですが、仕事が来る状態を作るコツはあるのでしょうか?
かずたか
実績を早めに作ると何もかも好転しますね。
できる人と見られることで、いい仕事も来るし、人も集まってきます。
手伝いたいとか、手伝ってほしいとか。
実績があると次の仕事に繋がって良いサイクルが回り始めます。
かずたか
人生の中で実績を作るフェーズを早めに設けるのが一番大事だと思っています。
ベンチャーなんかだとそのチャンスは多いですよね。
ベンチャーだと自分のPJは自分でやれるので、自分の実績になりますから。
かずたか
気を付けなければいけないのが、実力って可視化されないんですよ。
「実力が一番大事!」という人もいますが、実績も同じくらい大事だなと。
お客さんからしたら実力なんて目に見えませんからね。
「実力上がったからいいじゃん」はダメで、同時に実績を積み上げていくという意識が必要だと思いますね。
初芝
早めに実績を作って、それを元に仕事を受けて、さらに実績を積んでいく。
フリーランスになるならこのサイクルに乗ることを目標とするのがよさそうですね。

「これからは自分でプロダクトを作っていきたい」

初芝
独立されてから、今後の方向性についてどうお考えでしょうか?
かずたか
自分でプロダクトを作っていきたいです。
僕自身は自分が好きなものよりも、みんなが必要なものを作りたいという想いが強いんですね。
人から価値があると思われるものを作っていきたいです。
初芝
たしかに、人もお金もない中で治験に通いながらプログラミングを勉強した話とか、かずたかさんはプロダクト作りに並々ならぬ情熱がありますよね。
かずたか
僕は嫌なことはめっちゃ嫌なんです。
でも、その嫌なことを解消するための努力は苦にならなくって。
僕の場合、「仕事を楽しくしたい」という想いがある一方で、楽しく働くことを馬鹿にする風潮は嫌で。
かずたか
学生の時、バイトがすごく楽しかったんですけど、周りにそれを話したら「寒いヤツ」扱いされたんですね。
何アツくなってんの、みたいな。
その、仕事を楽しんでいることを冷めた目で見る風潮が嫌だったんです。
なので、「好きな旅を仕事にできる人を増やしたい!」と熱中できましたね。
初芝
かずたかさん、プライベートからとてもアツいですよね。
Twitterでも『G戦場ヘブンズドア』を紹介してたりとか。
かずたか
やめさえしなければきっかけはなんでもいいとも思っているんですけどね。
誇れる理由は必要なくって、頑張れるかが大事。
人は言っていることではなく行動を見るので。
僕の知り合いでも、「尊敬する人にやるよう言われたから」ってだけで事業を頑張ってバイアウトした人がいます。
初芝
先ほどの実績の話にも通じますね。
まずは行動して結果を出すことだと。
建前でがんじがらめになるくらいなら、欲を押し出して動く方が良い方向に進んでいくのかもしれませんね。

「フリーランスになる必然性はあるか?」という自問自答が大切


初芝
最後に、フリーランスになりたい人へのメッセージを頂けますか?

かずたか
よく考え直した方がいいと思います。
「会社員もフリーランスも方法でしかない」ということを意識し、調べた方がいい。
例えば、「時間も場所も自由にできる」って発想だけなら、そういう企業ありますからね。
本当にそこにやりたいことがあるのか、真剣に考えることが大事だなと。
かずたか
「本当にフリーランスじゃなきゃだめだ」っていう想いがあるならそれでもいいんですよ。
でも、必然性がないと人は本気になれないなと思っていて。
「フリーランスになる必然性が自分の中にどれほどあるのか」は深く自問自答する必要があります。
僕も、SAGOJOみたいなサービスが既にあったら、自分で作るのではなくそこに参加していたからもしれないですしね。
かずたか
あと、プレッシャーがあると間違った判断をしやすいです。
他の価値観を知って、比較して決定できるのが理想です。
東京フリーランスのこのインタビューも、様々な価値観を知るきっかけになりますしね。
特にTwitterを中心に情報収集している人は、メインクラスタから離れてもっと人と会った方がいいです。
色々見て判断することで、結果的に納得のいく選択に繋がっていくんだと思います。
初芝
最後に東フリの宣伝まで!(笑)
かずたかさん、ありがとうございました!

【Webスキル診断】“一生使えるスキル”を60秒で診断しよう!

「フリーランスになりたいけど、どんなスキルを身につければいいかわからない」という悩みを解決すべく、東京フリーランスでは【Webスキル診断】をLINEで無料実施中です! Web制作・Webデザイン・アプリ開発・動画編集など「自分に合った理想の働き方は何か」を見極めていただけます。

フリーランスインタビューカテゴリの最新記事