デザインの仕事でよくある失敗と対策とは?デザイン会社の社長から案件受注時に注意すべきポイントを聞いた!

デザインの仕事でよくある失敗と対策とは?デザイン会社の社長から案件受注時に注意すべきポイントを聞いた!

本記事では、デザインスキルを習得しこれから案件受注に挑戦しようと思っている人に向けて、“デザイナーとして仕事をする上での注意点”を解説します!

お客様とのやり取りが生まれる以上、スキル習得中と現場に出てからでは環境がまるで違います。学習中は予期していなかったようなアクシデントが発生したり、トラブルに巻き込まれてしまったりする場合も少なくありません。だからこそ実務に取り組む前に「デザイナーとして仕事をする上で注意すべき点」を押さえ、事前に対策を練っておくことは非常に重要です。

そこで今回はデイトラWebデザインコース教材作成者の船越(@ryota_funakoshi)に、デザインの仕事で起こりうる失敗例とその対策を聞いてきました!

本記事の内容
・現場でデザイナーが陥りがちな失敗例
・デザインの仕事でよくあるトラブルを防ぐ方法
・実務でデザイナーが失敗しないためのポイント

これから仕事を受注しようと思っている人はもちろん、既にデザインの案件を受注している人も勉強になる内容が多いはずです。最後まで読み進めてみてください!

船越
【監修者】
船越良太(@ryota_funakoshi)
デイトラWebデザインコース教材作成者。外資系IT企業に入社後、独立してフリーランスデザイナーに。その後、事業拡大に伴いUI/UXに強みを持つデザイン会社蒼を設立。現在は大手企業複数社から依頼を受けている。

デザインの仕事でよくある3つの失敗とは?

船越
早速ですが、「デザインの仕事でよくある失敗」を3つ紹介します。
それぞれ対策も解説するのでしっかり押さえておきましょう!
デザインの仕事でよくある失敗3つ
  1. 度重なる修正対応に追われてしまう
  2. 報酬の未払い/減額に遭ってしまう
  3. 作業範囲の線引きが不明確で疲弊する

よくある失敗1:度重なる修正対応に追われてしまう

船越
1つ目は現場にまだ慣れていない駆け出しデザイナーが陥りがちな「度重なる修正対応に追われてしまう」という失敗です。
デザイナーの仕事に修正はつきものですが、限度を設けることは大事です。
ありがちな修正に追われてしまう例
・画像の差し替えや原稿の変更を後から大量にお願いされる
・フォントや色使いの方向性が大幅に変わる
・素材を追加する関係で全体のレイアウト変更をお願いされる
船越
想定より修正対応が多いと見積もり金額と作業工数が合わなくなったり、時間がかかった結果他の案件に支障をきたしたりする場合もあります。
自分を守るためにも、修正対応の回数やルールは案件受注前に考えておきましょう。

修正の回数や対応方法を確実に定めておこう

こしば
案件を受注することに夢中で修正のルールは決めてなかったな…。
全てクライアントさん任せで進めたらいけないんだね。
船越
クライアントも悪気があって修正を依頼しているわけではなく、そもそも「頼めば何回でも修正してもらえる」と誤解していることが多いです。
だからこそ明確に修正のルールを提示することが大事になってきます。
船越
例えば、
・初稿提出時から数えて3回までは修正可能
・デザインのパターンは4つまでしか出さない
・最終決定後の修正は原則しない(対応する場合は別料金)
といったルール設定が考えられます。
こしば
たしかにあらかじめルールが決まっていればお互い安心できるね!
でもクライアントさんから「やっぱりここはどうしても直してもらえないですか?」なんて頼まれちゃったら断りにくいな…。
船越
その場合は「見積もりし直す」という手段もあります!
当初の作業範囲を明らかに超えている場合は「想定の工数を超えているので、改めてお見積りしてもよろしいですか?」といった感じで交渉してみるのも一つの手です。
船越
許可を頂けたら丁寧に理由を添えて見積もりし直せばいいですし、難しいと言われたらもうそれ以上は作業しないようにすれば良いかと思います。
こしば
なるほど!
あくまでもベースのルール決めをしておくことが大事なんだね!

着手前にクライアントとイメージをすり合わせよう

船越
あとは、そもそも何度も修正が起きないよう努力することも重要です
デザインの現場において修正地獄に陥ってしまう原因の多くは、クライアントとのすり合わせ不足にあるんです。
こしば
すり合わせ不足!?
つまりイメージが合ってないってこと?
船越
その通りです!
お互いなんとなくのイメージでデザインを受発注してしまうと、最終的なゴールが見えず行き当たりばったりになってしまいます。
船越
デザインは「言葉だけで定義すること」はほぼ不可能です。
例えば「かっこいい感じに」とか「現代チックに」といった曖昧な表現でお願いされることもありますが、それだと10人に依頼すれば10人違うデザインが出てきます。
こしば
たしかにデザインは伝え方が難しいよね…。
じゃあどうすれば認識をお互いに合わせられるんだろう?
船越
実際にデザインのイメージを見せることが効果的です!
発注者から依頼内容を聞いた後、例えば「ピンタレスト」のようなデザインまとめサイトからイメージに近いものを収集しましょう。

↑ピンタレストの画面

船越
そして「このデザインに近いですか?近くないですか?」といった感じで、クライアントの求めているデザインを探ることが大事です。
すると最終ゴールが抽象的な言葉ではなく、ビジュアル的に定義されます
こしば
たしかにこれなら認識のズレは少なそう!
事前のリサーチが大切なんだね。
船越
あとは着手してからも、少し進めたら一度見せておくほうが安心ですね。
仮に「完成形」まで10段階あるとしたら1〜3の段階で一度確認しておけば、後々大幅な修正がきて対応に追われるといったことも少なくなります!

・修正回数や対応のルールを事前に定めておくことが大事
・発注者とビジュアル的なイメージをすり合わせておこう
・着手後は早めの段階で一度方向性を確認しておこう

よくある失敗2:報酬の未払い/減額に遭ってしまう

船越
続いて2つ目ですが、クライアントからの報酬の未払いや減額を経験したというデザイナーも一定数いるようです。
納品後に請求書を送るも音沙汰なしで振込を確認できなかったり、成果物がイメージと違うからと言って支払いをしてくれなかったり。
船越
信じたくもない失敗談ですが、実際に起きている事例なのでこれから案件を受注する方はできる限りの対策をしておきましょう。

相手とのコミュニケーションで事前にリスクを回避しよう

こしば
報酬の未払いはツラいなぁ…。
でもこの失敗は相手側の原因も多そうだし…どうすれば防げるんだろう?
船越
たしかに100%防ぎ切るような対策はないかもしれませんが、契約面を見直すことである程度リスクヘッジは可能です。
例えば制作へ入る前に「着手金として報酬の30%〜50%分だけ頂く」といった交渉方法もあります。
船越
他にも報酬の未払いがあった場合は「少額訴訟などを行うこと」を契約書に記載してから、着手するのも一つの手かもしれませんね。
特に新規のお客様と仕事する場合は、契約面を確認しておくことが大切です。
こしば
おぉ、そんな方法があるんだね…!
全額先払いでもらうとなるとハードルが高そうだけど、着手金として何割か支払ってもらう方法ならこしばでも上手く交渉できそう!
船越
あとは「誠実に対応してくれそうか」「予算をしっかり持ってそうか」という観点で、クライアントを見極めることも大事ですね。
そのためにも、契約前になるべく直接コミュニケーションを取ることが理想です!

直接クライアントと契約できる実績やスキルをつけよう

こしば
直接コミュニケーションか…。
こしばが案件を受注しようと思っているクラウドソーシングとかだと、ルール上直接やり取りするのが難しいんだよなぁ。
船越
そうなんですよね…。
クラウドソーシング経由での案件受注だと直接話す機会が設けづらいので、信頼に足る人かどうか判断しづらいという側面もあります
船越
一方知人からの紹介やSNS経由での契約であれば、より深い関係性を構築できるので報酬関連のトラブルは比較的少ないです。
最初の実績作りとしてクラウドソーシングを活用するのは効果的ですが、徐々に実績やスキルをつけプラットフォームを介さずに直接契約できるようになることが望ましいですね!
こしば
直接契約かぁ…頑張ってスキルアップしなきゃな!
とにかく「クライアントさんとしっかり対話しておくこと」が、報酬の未払いを防ぐ一番の対策になりそうだね!

・報酬未払いを防ぐために全額もしくは一部を先に頂くという手段がある
・案件を受注するクライアントを見極めることも大事
・信頼関係を築きやすい直接契約で案件を受注できるようにスキルアップしよう

よくある失敗3:作業範囲の線引きが不明確で疲弊する

船越
3つ目ですが、「自分が請け負うべき範囲外の作業まで依頼されてしまう」といった失敗もデザイナー業界ではよく見受けられます。
そもそもスキルがなくて対応できない作業を頼まれてしまったり、料金外の対応までお願いされてしまったりするパターンですね!
船越
後々想定外の作業が増えて疲弊しないためにも、事前に「できる/できない」の線引きをし対応範囲を明確にしておくことが大切です。

相手はデザインの仕事への理解が足りない前提でいよう

こしば
作業範囲かぁ、たしかにざっくりしたまま営業しようとしてたな…。
自分で仕事内容を明確にしておかないと「これも頼んでいいのかな?」と、クライアントさんは思ってしまうもんね。
船越
制作会社ならそういった事例は少ないかもしれませんが、エンドクライアントと契約する場合は「デザイナー」という仕事に対する理解度が浅い場合もあるので…。
きちんと説明しておかないと、範囲外の仕事を依頼されがちです!

制作会社とエンドクライアントについて
フリーランスが受注する案件は制作会社から仕事を請け負うタイプと制作会社などを介さず、実際にサービスを利用するクライアントから直接依頼を受けるタイプ(エンド案件)の2つに大きく分けられる。

船越
具体的には、
・ロゴ専門のデザイナーなのにUIデザインを頼まれてしまう
・デザイナー特化なのにコーディングまで依頼されてしまう
・サーバーの契約やサイトの整備なども丸投げされてしまう
といった事例が挙げられます。
こしば
たしかにそれは盲点だったな…。
例えば「デザイナー=サイト構築までやってくれる」みたいに思っている人もいるかもしれないもんね!
船越
そうですね!
だからこそ「相手はデザインの仕事に対する理解が不足している」という前提で、ゼロから説明する癖をつけることが大切です。

自分の能力を明確に説明できるようにしておこう

こしば
ゼロからかぁ…。
具体的にどんな感じで説明してあげればいいんだろう?
船越
最初の段階で能力を説明できるようにしておくことが重要です。
一番分かりやすいのは、ポートフォリオを用意しておいて「自分はこういうデザインができます」「こういう作業ができます」と細かく説明することかなと。

ポートフォリオとは?
自分のスキルや経歴、能力などを相手に伝えるための作品集のこと。ここでは「今までに自分が作ったデザインの事例」が該当する。

船越
実際のサンプルを使いながら「自分ができること」を示せば、クライアントもどんな成果物を納品してくれるかをイメージしやすくなります!
こしば
ここでもポートフォリオを使うのか!
営業時に実績をアピールするだけじゃなくて、自分の能力をきちんと説明する役目も果たしてくれるんだね!
船越
あとは範囲外の作業を依頼されないためにも、「バナー制作」「LP制作」みたいにして自分が提供しているサービス内容を棚卸ししておくことも大事です。
お品書きのようなものを用意しておくと、説明しやすいかもしれませんね!
船越
なお、「対応できない範囲は他の方を紹介します」と伝えると相手も嬉しいですしこの人に頼めばなんとかしてくれそうという好印象に繋がります。
そういった意味では協業できる人を見つけておくことは重要なので、デイトラの受講生など頼れる仲間を探す努力もしましょう!

・発注者はデザインの仕事への理解が足りない前提で臨むこと!
・ポートフォリオを使って自分の能力を説明できるようにしよう
・提供サービスを棚卸ししてお品書きをまとめておくのもアリ
・あらかじめ協業できる仲間を見つけておくことも大事!

まとめ:クライアントとの関係構築がデザインの仕事で失敗を防ぐカギ!

船越
以上が「デザインの仕事でよくある失敗と対策」の解説でしたが、もう一度整理しておくのできちんと確認しておいてください!
【まとめ】デザインの仕事でよくある失敗3つ
  1. 度重なる修正対応に追われてしまう
  2. 報酬の未払い/減額に遭ってしまう
  3. 作業範囲の線引きが不明確で疲弊する
こしば
船越さんありがとう!!
これで安心してデザイナーとしての一歩目を踏み出せそうだよ!
船越
それは良かったです!
今回紹介した3つに共通するのは「クライアントとの関係性をきちんと構築すること」が失敗を防ぐ上で一番の鍵になるという点です。
船越
コミュニケーションがきちんと取れた状態で仕事に臨んだり、自分の能力・仕事内容を説明できたりしていればトラブルは起きづらくなるはずです。
契約書の整備やポートフォリオ・お品書きの用意など、案件を受注する前にできる限り失敗を防ぐための準備をしておいてくださいね!

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