【まだ努力で消耗してるの?】100人以上に仕事を依頼した編集者が語る!フリーランスの『ズルい』ブランド戦略

トム
【寄稿してくれた人】
トム(@marketerstom 
29歳マスコミ関係者&天才マーケター。
国内外の最新マーケティング事情に精通しており、Twitterやnoteを中心に情報発信をしている。
情報商材の裏側を暴露したnoteがバズり、現在注目が集まっている人物。

どうも。”マーケターのトム”こと、坂上智紀です。

少し前に情報商材をテーマに書いた過激な記事がバズりました。コメントやDMを沢山もらって。まぁ好評いただいて嬉しい限りです。

29歳編集者の暴露話「ネットとお金と情報商材」
【悪用厳禁!】情報商材攻略1年目の教科書【禁断の手法】

職場のデスクの近くの人が開いてた「はてブ」画面の政治経済タブに、僕の記事が表示されたりしてて、焦りました。「やべえ、こんなポエム書いてるのバレちゃうじゃん」と。

でも僕は情報商材の専門家ではありません。僕は書籍編集者。宮本武蔵は刀で身を立てた。それに並べるのは恥ずかしいですが、僕の特技はコンテンツマーケティングです。

今回の話は「コンテンツマーケ視点から考えるフリーランスの生存戦略」に関するものです。元IBMのマーケターの永井さん風に言えば「自分を高く売る方法」。

実は、僕自身フリーランスです。

まぶたの重い月曜の朝は狭い満員電車でオフィスに向かう。夕暮れ時そそくさとオフィスを後にして、帰り道に立ち寄ったカフェで湯気の立つコーヒーを片手にPCを広げる…。

厚労省公開資料の言葉を借りれば「副業系フリーランス」。

フリーランスになって初めて請負業になったわけですけど、色々驚いたことがあります。

編集者の業務の半分はプロジェクトマネージメントです。色々な個人事業主やら教授やらデザイナーやらライターやら翻訳者やら校正スタッフやら…に発注をする側なんですね。お会いしたり一緒に仕事したフリーランスの方は3桁超えてます

ライターのブログ読んだり、制作会社の見積もり表と睨めっこしたり、デザイナーさんのインスタ覗いたり、クラウドソーシングのプロフ眺めたりしてるわけですよ。狭いデスクの原稿の山の隙間から覗くPCモニターを睨みながら。

で、2018年起業してフリーランスになりました。発注を受ける側になると、我が身につまされる思いというか(笑)。偉そうに締め切りを設定して催促してたくせに、自分がやるとなると本当に大変。何より自分の名前一つで仕事を取らないといけない。人間、他の立場にならないと他人への敬意はわからないものですね。

そういう発注者側の立場から感じることがあります。それは「人材がコモディティ化してる」ってこと。つまり仕事を投げるのって「誰でもいい」んですよ。

コモディティとはマーケティングの用語で「替えが効くもの」「一般に普及してるもの」。もっと分かりやすく言えば「量産品」ということ。

僕の親父が子供だった頃、車やカラーテレビは高級品だったらしい。小さい頃に教えてくれた。でも今や国民の大多数に行き渡りました。大学生の時、サークルでiPhone 3G持ってる子に自慢されて、僕はガラケーをポケットにしまって「いいなそれ」と。でも今は誰しもスマホを持ってるじゃないですか。

今ってあらゆるものが量産品化してるんですよ。僕たちが目の当たりにするのは「情報」のコモディティ化です。インターネットのせいで情報は在庫なし・管理コストなし、そして流通が一瞬になった。

すばしっこい情報の背中を追いかけても追いかけても、あらゆる場所に出回っちゃうから「ネットにない情報」で本を作れない。今やネットで落ちてない情報なんてほとんどない。

本はまさにそれ。僕は編集者になった時はもうネット社会だったから「なんでwebに落ちてる情報買うのかな」って画面に映し出される有象無象のブログを見ながら、肩ひじを突いてボヤいてたんですよ。

「専門技能」すらもコモディティ化している。

「英語とプログラミングやっとけ」と最近めっちゃ言われますね。若い世代は75才まで働くかもしれないし、終身雇用制度が崩壊しそうだから会社には頼れない。100年時代の僕らの生存戦略だと。

英語もプログラミングも最終判定者が人間と人間のクリエイティビティなので、AIで完全代替できない。加えて学習コストが高い。だから弁護士や税理士みたいな知識依存度が高い仕事と違って、割と「耐久性の高いスキル」なのは間違いない。実は意外にもGoogleに食われにくい。

自慢ですが僕は英語で身を立ててきたので、CV出すとどこ行っても褒められる経歴があるんです。そしてこの前、京都の四条通で友達数人とたむろしてた所に「I’m looking for this hotel. Do you know where it is?」と外国人に聞かれてしまった。

久しぶりで焦った僕は「レフト!ライト!アンドレフト!アンゼア!」と噛み噛みで言いました。ショボっ。

「あぁ、なんで『Turn Left, and go straight. And several blocks over, turn right. And You’ll find it on the left side.』くらいスラスラ出なかったんだろ」ってなんか情けなくなって。

正直に告白すると、未だに突然ネイティブの前に放りだされるのが怖い。結局、日常会話って一番難しいんですよ。僕より英語できる人なんて死ぬほどいるんです。

畑違いですけど、ITスキルだって量産品なんですよ。「その人しかできないこと」って中々ない。マークアップできてjQueryやらReactやらVue書けるフロントエンドエンジニアなんて、Fiverrで腐るほど見つかる。

Deep Mindのデミス・ハサビスじゃないなら、ネジでしかない。Upworkにプログラマやコーダーなんて腐るほどいる。だからクラウド見てもProgate見ても、労働力に対して凄い高値はつかないですよね。僕が翻訳やっても大して値段が付かないように。

そして僕たち自身も、類似商品が出回っている。Twitter界隈じゃ「自分を商品にしよう」と言って、みんながプロブロガーを自称して、サラリーマンを煽っている。

…情報の陳腐化地獄。コモディティヘルです。

自分という商品が均質化し、価格競争に飲み込まれている。情報が普遍化・データベース化したことによって、その情報によって知識を付け教育される「人」でさえも同一化し、市場優位性を失っている・・・。

フリーランスの生き方のヒントは”情報商材屋”にあり!

これが僕の勝手な主張です。

皆さんお馴染み、某日本一有名な元情報商材屋さんは、YouTubeでも見れる講座の中で「本屋で見つかる内容を、自分の生き方で書き換えればいい。だから最低週1で書店に足を運べ」と言ってました。

これって凄くないですか。たかが本の情報が、何十~何百万円で売れるんですよ。でもビジネス書の情報の相場って、せいぜい1,000~3,000円くらいじゃないですか。なぜそれが売れるのか。

彼らは「コモディティを高値で売る」というのに最も優れた人種なんです。これって、僕たちの生き方のヒントが隠されてると思ったんですよね。

なので、2016年頃からずっと国内外の情報商材屋のビジネスモデルを注意深く観察してきました。彼らの敷くセールスファネルに何があるのか?

…彼らがコモディティヘルから抜け出してる方法。それってやっぱり「ブランド」なんですよ。

彼らはコピーとマーケとストーリーテリングによって、消費者の頭の中にブランドを構築するのが、とてつもなく上手い。

「ブランド」とは世間一般的には、単に高級品を指して使われます。

でもマーケティング界隈、特にアメリカでは、「ブランド」という言葉がビジネスとリンクした概念で、時に神秘的なものとして扱われます。オグルヴィもコトラーもバイロンシャープも”brand”という名詞を軽々しく使ったりしない。

Forbesの記事で、Chief Branding Officer(CBO)という言葉が紹介されていました。実際、割と大きめの会社になるとブランドマネージャーみたいな人たちが当たり前の職種として認識されてるそうです。

ふろむださんの「錯覚資産」の本が流行りましたが、これってマーケティング用語で言い換えれば「ブランド戦略」のことなんですよ。違うパッケージで言い換えてるだけ。

車の本質的な価値は「安全に目的地まで走れること」ですよね。それでいいじゃないですか、と僕みたいな車音痴は思います(笑)。今日本で出回ってる車は全てコモディティ最低ラインをクリアしてますよね。走行中に故障したり、エンジンメーター付いてなかったりしません。でもなぜか、僕が昔いた会社の社長は、大枚叩いてベンツを乗り回してるわけです。

この最低ラインをクリアしてる人や商品って山ほどあるんです。

これはブログもそう。今は「普通に良い記事」を書いても競争に勝てない。「良い記事」は当たり前のように溢れてるから。でもなぜか、インフルエンサーやカリスマブロガーは情報量で勝ってないのに、企業のガチブログよりアクセスを稼いでたりしますね。

僕は昔アノニマスのこの言葉を聞いて痺れました。

Behind the mask we could be anyone, which is why we are judged by what we say and do, not who we are or what we have.
(マスクの下であれば、何者にもなれる。だからこそ、我らは「何を持っているか」や「何者であるか」より、「何を言い」「何をなすか」によって判断される)
-Anonymous(”We do not forgive, we do not forget”)

でも悲しいことに現実は、僕が企画書を持っていけば必ず「誰が書くの?」のツッコミが続きます。

僕たち編集者は報酬を「印税率」で支払います。でも業界常識として「有名タレント本」は大体ライターが書いてるのに、名前貸してるだけのタレントがごっそり取っていて、ライターの取り分は少なかったりする。

「何」より「誰」。つまり「ブランド」の時代なんですよ。現実は。

iPhoneって実はスペックで売ってないんです。スペックだったらAndroidでもっと凄いのが沢山ある。だから彼らは「モノ消費よりコト消費」で売る。「コト」=「得られる未来」をひたすら描写する。クールでミステリアスなリンゴのアイコンと一緒に。「ポケットに1,000曲を」とか言って。

Yuval Harariさんは、対面で維持できるコミュニティの限界は150人だと言いました。それ以上は、宗教や法などの共同幻想が必要だと。ジョブズはそれを「リンゴ」で行った。彼は最強のデザイナーであり宗教家でした。あのクールなロゴの下に、共同幻想を世界中にばらまいた。

2011~13年頃、あれだけJobsやApple本の数値が跳ねてるのは、単にブームじゃなくて経営やマーケティング上の研究対象として優れていたからだと思います。

僕はいわゆる「プロダクト」は全てコモディティだと思ってます。そして何処かに「コモディティライン」が存在して、そこにたどり着けないなら、商品自体の品質、商品機能を上げたほうがいい。

フリーランスも同じで、必要なスキルセットは揃えておく必要があるんじゃないかなって感じます。ミスのある校正スタッフにはお願いしなくなる。英語で身を立てるならTOEIC 900は欲しいし、WEBライターなら基本的なテクニカルライティングの作法は覚えたい。

ただ、それ以上の機能面での差別化は苦しい戦いになると思うんです。英語だって通訳の人がどれだけ勉強しているか…。あの努力は僕には到底真似できません。

コモディティラインを超えると、それ以上の莫大なコストがかかるんですよ。いわゆる「パレートの法則」が働きます。例えばMacのSSDを4TBにしようとしたらチーフクラスが顔を真っ赤にして怒る、さぞ強烈なP/Lができると思います。

でもコモディティライン上にたどり着いた時点で、機能面での差別化はあまり得策じゃない。いかにブランドを育てるかということが、経営戦略として大事になるんじゃないかなって。

そうじゃないとフリーランスのUSP(選ばれる理由)って、価格になっちゃうんです。「うちは他社より安く印刷できますよ」「私は文字単価0.5円でやれます」「ポッキリで3万円でLP丸々納品します」。

でもUSPを機能からブランド(信頼、親近感、集客力、実績)に変えれば、価格競争とコモディティヘルに巻き込まれにくい

具体的には、ブログやソーシャルをブランディングのツールとして使うこと。Twitter、Facebook、Qiita、SlideShare、LinkedIn、Medium、YouTube、Vimeo、Schoo、Udemy、Street Academy、Podcast、Voicy。

ソーシャルやホスティングサービスや色々あると思います。僕は今、自分のポジションと専門性を確立するためにSNSを使っています。偉そうに言っておきながら、全然作業量足りてないけど、今年は頑張ります。

最後に余談ですが、僕は2011年ロンドンに住んでました。夜な夜なパブに行くんですが、僕の友達のトム(別人)とゴッティとハヤトが「BrewDog」というクラフトビールが美味しいんだって言ってました。

最近突如流行ってるんだとか。しかもその起点はSNS。背後には物語があるらしい。創始者が、ビールの既成概念をぶっ壊すほどの「最高」を求めたんだって。僕はお酒が飲めなかったから、何が違うのか分からなかった。少し赤みがかった黄金色の液体が「ゴクリゴクリ」と音を立てて流れる喉を見ていました。

ブランドとは、自分ではどうしようもできない、頭の中の感情的な反応のことである。
―ジェームズ・ワット(BrewDog CEO)

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