こんにちは、プログラマーのとだこうきです
ITエンジニアとしてスキルアップするには、実務を経験するのが最も効果的です。現場である程度の教育を受けられる上に、コードを書く時間が圧倒的に増えるからです。
だだ、中には”プログラマー”として転職したのに「あれ…全然コード書かせてもらえへんやん…」みたいなこともあります。さらにヒドいところだと、労働時間が長くて会社でもスキルアップできないし、独学の時間も確保できないなんてこともあります。
そういう悪循環に陥ってしまうとプログラマーとしてのキャリアは暗いです。そうならないためにも実務経験がないプログラマーは「ブラック企業」を避けて転職しないといけません。以下のような身の毛もよだつ会社はマジでありますからね…
なので、この記事ではプログラマーに転職する際に役立つ「ブラックIT企業の見極め方」を紹介していきます。
この記事の内容は、過去にブラックIT企業で働いていた東フリサロンメンバーやエンジニア友達に取材した内容を参考に作成しています。実体験に基づく生きた情報なのでぜひ参考にしてください。
「知らない」。
たったそれだけのことでプログラマーのキャリアが閉ざされてしまう可能性があるので、この記事は最後まで目を通しておきましょう。
ブラック企業とは
そもそもブラック企業とは何かを定義しておきましょう。
厚生労働省によると、以下のような企業がブラック企業と呼ばれるとのことです。本記事でもこの定義を採用します。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
「ブラック企業」ってどんな会社なの?|Q&A|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省
これらに加えて、IT企業においてはスキルアップしない単調な作業を繰り返し求めるような企業もブラックだと言われることが非常に多いです。
ブラック企業を見抜くにはココを見ろ!!
では、ITブラック企業を見極める方法を解説していきます。
ITブラック企業を見極める方法には、「一般的なブラック企業」の見極め方と「ITブラック企業」特有の見極め方の二つがあります。
これから見極め方を解説していきますが、会社は総合的な評価が重要です。一つの項目に該当するからといって「この企業はブラックだ!!!」と言うの良くないです。実際に転職する際は、ブラックなポイントに加えて会社として良いポイントなどを考慮して総合的に考えましょう。
一般的なブラック企業の見極めポイント
では、一般的なブラック企業の見極めるポイントを解説していきます。これらの基準は IT 企業に限らず当てはまる内容です。
ポイント1 (元)従業員からの評判が悪い
ブラック企業を見極める最も効果的な手段は、従業員あるいは元従業員に労働環境を聞くことです。
現状を最も知っているのは、彼らだからです。彼らに内情を聞けるのが最も理想的です。
評判を確認する手法は主に3つあります。
- 関係者に直接聞く
- 会社の口コミサイト(OpenWork)を確認する
- SNS で関係者に話を聞く
「1. 関係者に直接聞く」「3. SNS で関係者に話を聞く」は文字通りで特に補足することもないので、2について説明します。
会社の口コミサイト(OpenWork)を確認する
会社の評判を調べるために会社の口コミサイトを確認しましょう
実は会社には口コミサイトというのが存在します。食べログみたいなものですね。
有名なところだと OpenWork(旧名:Vorkers)があります。
下の画像のように社員による評価が分かりやすい図として表示されています。
食べログと同様でコメントも記載されており、その会社がどういう会社でなぜその点数を社員がつけたのか理由が記載されています。
総合評価が3を下回っている会社は結構ブラック度が高いですね。有給消化率が低かったり、残業時間が異常に長かったりするところですね。スコアは相対評価ゆえにイメージつきにくいので、過去自分が勤めていた会社のスコアと比較して見てみると良いですね。
ポイント2 会社の事業が上手く行っていない
ブラック企業の多くは、事業として上手くいっていません。
経営者としても望んでブラック企業を経営してるわけではなくて、お金がないからブラック企業にならざるを得ない場合があります。
従業員が残業しなければ会社が潰れてしまう!という状況であれば、否が応でも残業を強要するでしょう。そして、それを強要出来ているから会社が存続しているのです。
事業が成功している否かを確認するには、主に四季報か帝国データバンクのデータを見るとよいです。利益が出ているのか、成長しているのか、成長を期待されているのかなどなど確認すると良いです。公開していない会社については、面談のときに確認しましょう。
帝国データバンクでデータを見るには約500円ほどかかるので、一次面接通過後あるいはどうしても就職したいと思っている会社の情報を見ると良いです。
とはいえ、四季報や帝国データバンクを見るだけでは現状しかおよそ分かりませんし、その事業が上手くいくのか自分で判断できるほうが正しい判断ができるはずです。なのでその事業に将来性があるのか自分で判断できるようになっていきましょう。
儲かるビジネスモデルを理解する
一般的に儲かると言われているビジネスモデルは、以下の条件を満たしているものです。
- 資本がそれほど必要がない
- 在庫が少ない
- 利益率が高い
- 継続的に利益が上がる仕組みがある
IT企業だと1~4を満たしている可能性は高いですが、これらの基準を満たしている事業を行われているのか面談時に確認するべきです。受託開発企業などはオフィスを用意し人材を多く抱え多額の固定費を支払いながら、さらには下請けの下請けをしており、かなり利益率が悪いケースがあります。こういう会社には気をつけるべきですね。
自社サービス開発している会社のビジネスモデルは会社によって全く違うので注意深く見る必要があります。
ポイント3 求人サイトで常に人を募集している
ブラック企業は採用が上手くいっていないケースが多いです。ゆえに求人サイトで常に人を募集しています。
ブラック企業は当然人気がないです。これを読んでいる方同様に、望んでブラック企業に働きたい人は多くはないです。ブラックな環境では最悪命を落としますから。
求人サイトは使いたくないもの
一般論として多くの企業は、求人サイトをあまり使いたがりません。求人サイトを利用して採用するにはお金がかかるからです。
つまり、妥協です。お金はかかるけど採用サイトを使わないと採用出来ないから使っているという状態です。
ホワイト企業は求人サイトを使う必要があまりない
ホワイト企業は採用活動が比較的簡単です。
なぜなら多くの労働者はホワイト企業に働きたくて、なおかつ日本にはホワイト企業が稀有な存在だからです。悲しいものですね。
ゆえに、求人サイトを使わずとも紹介や口コミなどで人材を採用できます。
そもそもホワイト企業は離職者が少ないので、頻繁に人材を求める必要はありません。
※事業が急速に拡大している場合は例外
ブラック企業は求人サイトを常に使う必要がある
その一方でブラック企業は、求人サイトを常に使う必要があります。
労働者はすぐに離職するし、企業の評判が悪いので紹介での採用は絶望的。ゆえに求人サイトを使って人材を確保する必要があるのす。
事業が成長していないのに常に求人サイトに求人を出してる会社は離職率が高く、労働者から魅力的な職場だと思われていない可能性が高いです。
ポイント4 労働基準関係法令違反に係る公表事案に掲載されている企業
労働基準関係法令違反に係る公表事案に掲載されいてる企業はブラック企業です。
「労働基準関係法令違反に係る公表事案」というのは厚生労働省が公表している労基法に違反した企業のリストです。国公認のブラック企業というわけです。
有名企業なども普通にリストアップされているので確認しておくべきです。
参考:パナソニック、電通、HIS、ヤマト運輸…… 厚労省が実名公表しても減らない“ブラック企業” (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
ポイント5 離職率が高い
離職率が高いのは、ブラック企業としての特徴です。
上掲の通り、ブラック企業は仕事が大変で労働環境が劣悪なのですぐに人が辞めます。なので、離職率がどの程度なのか聞いておきましょう。
ブラック企業の人間は口が上手いので、数字から判断できるようにしておきましょう。口が上手くなくてブラックな環境ならとっくに会社は倒産してますから。
また離職率は非公開な会社も多いです。その時は、面談時に離職率を聞いておきましょう。離職率をうやむやにしてくるところも怪しいですね。
ポイント6 残業代が固定、裁量労働
残業代が固定だったり裁量労働の場合は、著しく労働時間が長い場合が多いです。
残業代を固定にするということはそれ以上の時間を労働するケースが多いことを示していますね。
裁量労働は残業代を払わない口実に使われることが多いです。新卒で入った会社の上司が裁量労働でしたが、定時より前に帰ったところを見たことがありませんでしたね。裁量労働なのに定時より早く帰ると怒られるそうです…
特に、業界において実績がない人材の労働条件に裁量労働がある場合は、長時間の残業を強いようとしてる可能性が高いです。
ポイント7 育休・産休取得率、有給消化率が低い
有給消化率が低いのもブラック企業の特徴です。
労働時間を長くさせるために有給休暇や育休・産休を取りにくい雰囲気を作り出す会社がブラック企業に多いです。
雰囲気など無視して休暇を取れば良いですが、そもそも休みにくい環境を作り出している会社が良い企業とは言いにくいですね。
取得率・消化率は数字として表れるものなので、判断基準として分かりやすいですね。何度も言いますが、ブラック企業は口が上手いので、定量的に判断するのは重要です。
IT 企業としてのブラック企業の基準
ここまでは一般的なブラック企業の見極め方を解説してきましたが、次はIT企業としてブラック企業と考えられている企業を見極めるポイントを紹介していきます。
ポイント1 プログラミング未経験可でも入社可能
プログラマーとして転職するにあたり、プログラミング未経験でも受け入れてくれる企業はブラック企業の可能性が非常に高いです。
プログラマーは専門職です。ゆえにある程度の専門性がないと就職できない職業です。
なので、多くの人はプログラミングスクールや独学で専門性を最低限身につけた上で転職されています。スクールに通っただけでも理想とする企業に転職できない方もいるなかで、プログラミングの勉強すらしていない人が良い企業に就職できるはずがありません。
新卒採用などのポテンシャルを重視する採用は例外ですが、基本的にプログラミング未経験でプログラマーとして採用している場合は「それ本当にプログラマーとしての仕事させてもらえるのか!?」と疑うべきです。
実際、プログラマーという職種で採用しされたのに「プログラミングをさせてもらえず雑用ばかり」という話もよく聞きます。
ポイント2 多重下請けしている企業
IT企業として就職を避けるべきは、多重下請け企業です。
多重下請けをしている企業を説明する前に、IT業界における闇「多重下請け構造」について説明します。これを理解できれば、なぜ多重下請け企業に就職してはいけない理由が分かるでしょう。
IT業界の闇「多重下請け構造」とは?
ITには受託開発というのがあります。受託開発というのはお客さんに「こういうシステム作ってくれや!」とお願いされて、それをIT企業が作るというものです。
この受託開発において、開発を請け負った企業が「自分たちで開発するの無理だわ!」と思ったときに下請け企業へ開発を依頼することがあります。
これ自体は悪いことではないのですが、下請け企業がまた「自分たちで開発するの無理だわ!」と考えてさらに下請けに開発を依頼することがあります。そして、またその下請けも下請けに依頼して…みたいな感じで下請け構造が多重化する。これが多重下請け構造と言われるものです。
図にすると以下のような形になっています。
以下の漫画もわかりやすく説明しています。
ポイント4 キャリアアップに繋がりにくい技術を扱っている
キャリアアップするにはトレンドを抑えた技術を学ぶことが重要です。スキルアップできても「その技術、需要ないよ…」という状態なら悲しいですね。
悲しいだけならいいですが、古い技術を扱っている企業ほど労働環境が厳しい傾向があり、さらには市場に求められない人材になって市場価値が出にくいです。
プログラマーとして就職するのであれば、技術的にイケているところを選ぶのが良いでしょう。
ただ「技術的にイケているか否か」を判断するのは、実務経験がない人にとっては判断するのが難しいでしょう。そういう場合は、以下の2つの方法を使うことがオススメです。
- 現役のエンジニアに技術トレンドについて聞く
- Google トレンドで調べる
現役のエンジニアに技術トレンドについて聞く
最も有効的な手法は、エンジニアに聞くというものです。
エンジニアは、今どういう技術が流行っていて、どういう技術を身につければ市場価値が出るのかなんとなく分かっています。
ゆえにエンジニアに聞けば問題解決です。就職を考えいている企業がどういう技術を使っていて、それらの技術をこれから学ぶことについてどう思うか聞いてみるのが良いです。
勉強会などに参加して実際にプログラマーに質問するのが良いです。connpassを使うとエンジニアが集まるイベントには参加しやすいですよ。
Google トレンドで調べる
Google トレンドというツールを使ってその技術がどれくらい流行っているのか確認できます。
Google トレンドというのは、特定のワードがどれくらい検索されているのか調べるものです。盛り上がっている技術であれば、Google トレンドでも人気になっているはずなので分かるはずです。
複数ワードを比較して最近何が盛り上がっているのかを確認することができます。下の画像は現在人気なWebフレームワークのトレンドを調べたものです。
トレンドを調べることは出来ますが、盛り上がっていないが根強く人気がある言語や技術もあるので参考程度に考えておきましょう。言語や技術の将来性を調べたいのであれば、やはり複数の現役エンジニアに聞くのが最も効果的です。
ホワイト企業に見合う人材になる
ブラック企業の見極め方をつらつらと説明してきましたが、そんなことよりも重要な考えがあるのでお伝えしておきましょう。
それは「ホワイト企業に見合う人材になる」ことです。
ホワイト企業は人気です。ゆえにそこに入社するには競争相手が多いです。つまり、ホワイト企業に入社するにはそれだけの実力やポテンシャルが必要です。
「ブラック企業を見極め方わかった!完璧だ!」と思ってもホワイト企業が雇ってくれなければブラック企業に就職する羽目になります。
現役のエンジニアにもいますが「あのエージェントは自分の希望する条件を出してこない!」と文句を垂れる人が多いです。ただそれはその人の実力不足です。
実力がないのに良い条件を勝ちとろうとするのは分不相応です。「自分たちは野球下手だし特に練習もしたくないけど、甲子園優勝したいよね」みたいな違和感を感じます。練習しろよと言いたいです。
プログラマーとしていい仕事を得たいなら、求められる人材になるのが最も手っ取り早いです。
実務経験がないならプログラミングの学習を続けて、GitHubにソースコードを公開したり技術ブログを書いたりしてアウトプットをするべきです。努力すればチャンスを掴みやすい業界なので、地道にやればいいです。
実務未経験者は少しはブラック度を許容すべき
ぼくはスキルアップできてキャリアとしてステップアップできる”ブラック企業”なら就職しても良いと思ってます。
ぼくは周りから見るとブラック企業と言われるような会社で働いていたことはありますが、プログラマーとしてキャリアアップできたので大きく不満に思っていません(もちろん不満はありますけどね)。むしろ素早くキャリアを進められたので一部において感謝をしています。
エンジニアとしてキャリアアップできる、つまり需要のあるプログラミング言語や技術を触らせてくれる会社に就職するのが良いと思います。そこを最低ラインとして「どこまでブラック度を許容できるのか」について考えるべきです。
絶対に少しでもブラックな企業は嫌だ!とワガママを言っているといつまでも就職できずスキルアップもできないので、どこかで妥協が必要です。