広告は徹底した計画と検証が大事!「シリコンバレー式広告運用」について広告のプロに取材してきた!

広告は徹底した計画と検証が大事!「シリコンバレー式広告運用」について広告のプロに取材してきた!
広告運用に興味あるんだけど、独学するのって結構難しそうだな…。
とはいえ、広告運用に必要な知識や考え方はある程度知っておきたい…。

あなたもこんな悩みを抱えていたのではないでしょうか?

そこで今回は、広告運用のスペシャリストである後藤さんに、実戦的な広告運用の極意について根掘り葉掘り伺ってきました!

本記事で分かること

  • 広告運用における戦略策定の方法
  • 広告媒体の特徴
  • クリエイティブの考え方

シリコンバレーでの経験をもとに国内外で事業を成功させ、今では広告運用のプロフェッショナルとして輝かしい実績を誇る後藤さん。カナダの「2週間で消えるオーガニックタトゥーInkboxの代理店となり、最終的には本社から事業を買収されるに至りました。

前回も東京フリーランスで取材させていただきました▼

ネットショップは作って終わりじゃ成功しない!Shopify×広告運用の取り組み方とは?

今回は、後藤さんがこれまで培ってきた広告運用の知識やスキルを、今回は時間の許す限り聞いています!

本記事を最後まで読めば、広告運用で大切な考え方やおさえておくべき指標の見方が分かるようになるでしょう。

これから広告運用にチャレンジしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください!

後藤さん
【ゲストプロフィール】
後藤亜都夢さん
1993年東京生まれ 。ワシントン大学卒業 。 ファーストリテイリング入社後 、 長谷川ホールディングスにて海外市場調査部にて 国内事業を海外展開へ 、海外事業を 国内展開の市場調査などの経験得た後 、 エーアンドジーインターナショナル株式会社を設立 。 「世界を日本に、そして日本を世界に」を モットーに 「inkbox 」などを日本で展開 。 2019年にinkbox ink inc にinkbox Japan事業譲渡を しinkbox ink Japan合同会社にてマネージングディレクターとして就任 。inkboxでは世界ブランドとしての地位を確立。A&Gでは、WEBマーケティングコンサルティング事業の拡大を図る 。
初芝
初芝賢@hatushiba_ken
2016年に早稲田大学政治経済学部卒業後、日本IBMにITスペシャリスト職として入社。チームリーダーとしてプロジェクト推進・提案活動に従事。その後2018年にWebデザインベンチャーにマーケターとして参画。2019年に合同会社東京フリーランス立ち上げ後はマーケティング戦略の立案からWebメディアの編集、広告運用のディレクション、LPOなどマーケティング業務全般を行っている。

まずは広告用語や指標の計算などの基本を勉強するべし!

初芝
本日はよろしくお願いします!
早速広告運用の基本についてお伺いしたいんですが、いざ広告運用をやるとなった時、まず何から始めれば良いんでしょうか…?
後藤さん
まずは広告の基本をしっかりと勉強することから始めるべきです。
特に最低限の広告用語や考え方、数値の見方などは最初に理解しておくと良いですね。
初芝
いきなり広告運用を始めるのではなく、まず基礎知識を身に付けていくことが重要なんですね!
後藤さん
そうですね。
基本をおさえないまま広告を運用してしまうと、結局自分が何をしているのか分からない状態になってしまいますからね…。

広告の運用で重要となる指標はROAS

初芝
実際に広告運用をスタートさせる際に、後藤さんが重視されている指標はどんなものなのでしょうか?
後藤さん
広告を運用するときに僕が重視しているのは「ROAS」です。

ROASとは?
ROAS(Return On Advertising Spend)とは、かけた広告費に対してどれだけ売上が立っているのかを計る指標。

後藤さん
多くのお客さんのゴールは「売上」にあると思っています。
中には「インプレッションを上げよう」「コストを下げよう」「クリック率を上げよう」とクライアントに提案する広告代理店もありますが、そこの数字って”手段”であって”目的”ではないんですよね。
後藤さん
まずはクライアントが広告でどれぐらいの売上を見込んでいるのかをヒアリングし、逆算してどのくらい広告費をかければ目標を達成できるのか考えるべきです。
そして、それを考える際に重要なのがROASです。
初芝
明確なゴールを設定したあと、細かく逆算していくのが重要なんですね!
後藤さん
そうですね!
なのでROASを第一に置いて、その次にインプレッションやクリック数といった指標に目を向けると良いでしょう。

「なんとなく」ではなく「仮説」を持って運用しよう!

後藤さん
あとは、広告の運用結果をちゃんと見て「なぜ良かったのか」「なぜ悪かったのか」の仮説を立てていくことも重要です。
後藤さん
広告運用は運の要素もあるので、たまたま良い成果が出たりもします。
ですが、すべての運用成果に対して「なぜそういう結果になったのか」を理解しなければなりません。
初芝
なるほど…!
運の要素もある中、分析するときはどの指標を見ればいいんでしょうか?
後藤さん
原因を分析するときの指標も「ROAS」や「インプレッション」「クリック数」を中心に見ますね。
現状のROASに対してインプレッションやクリック数が良いのか悪いのか、どう動いたのかを細かく見ます。
後藤さん
また、分析や仮説についてをチーム内で話し合えるのが望ましいですね。
「インプレッションが良かったから数字も良いのかな」といったように互いに話し合える基本体制を作ると、運用が円滑に進められるでしょう。
初芝
運用状況を共有して話し合える環境を整えるのも大切なんですね!

事前の戦略策定が広告運用の成果を分ける!?

初芝
では、広告運用で成果を出すために考えるべきことはありますか?
後藤さん
広告を回す前の戦略策定ですかね!
まずは「会社として売上がいくら欲しいのか」といった最終目標を明確に置くのが戦略の前提となります。
後藤さん
そして設定した売上に対し、広告費をどれだけ入れるとどれだけ売上が得られるのかを計算して出します。
その上でクライアントと広告を回すのか回さないのかを判断するのがベストです。
初芝
なるほど!
運用を始める前におおよその広告費まで計算しておかないといけないんですね!
運用を始めた後もROASを中心に見ていくのでしょうか?
後藤さん
そうですね!
ROASは運用中も重要な指標です。
後藤さん
たとえば、広告を回し始めてインプレッションは増えてるけど売上に繋がってないとします。
その場合は、CTR(クリック率)を上げるために訴求文言を改善しようとか、逆にインプレッションが少ないから広告の露出をもっと増やそうと考えたりしますね。
CTRとは?
広告が表示された回数に対して、ユーザーからクリックされた割合。
初芝
ROASから逆算して施策も考えられると、戦略や施策の打ち方がブレにくくなりますね!

「オーディエンス・市場・競合」は事前に調査しておこう!

後藤さん
あとは、広告を打つ際にオーディエンスを理解しておくことも大切です!
商品を買ってくれるのが誰なのか分かっていないと、どのような訴求軸で広告を打てば効果的なのかも見えませんからね。
オーディエンスとは?
広告を受け取る側の人のこと。主にCookieなどから得たユーザー情報をオーディエンスデータと呼ぶ。
初芝
たしかに、商材によってオーディエンスは変わりますもんね…。
後藤さん
オーディエンスはどんな媒体で広告を配信するかによっても変わります。
例えば商材によっては、Googleで配信する広告は反応が悪いのに、Yahooで配信する広告だと途端に反応が良くなる、なんてことも起こりえます。
初芝
なるほど…。
商材のジャンルによって配信する広告媒体を考えていかないといけませんね…。
後藤さん
はい!
広告媒体によってユーザーの年齢層も変わってくるので「広告を出す場所にどんな特性があるのか」も考える必要があります。
後藤さん
そしてオーディエンス以外にも、市場や競合を徹底的に調査していきましょう。
初芝
競合や市場の調査はどのようにすれば良いのでしょうか?
後藤さん
まずは、以下の3つの数字を考えるといいですね。
  1. 自分たちが何%のシェアを取りたいか
  2. 競合が何%のシェアを取っているのか
  3. 現実的に取れそうなシェアは何%なのか
後藤さん
この3つを調べてみてください。
現実的に取れそうなシェアが分かれば、企業の成長規模も見えますし、目標や戦略設定がしやすくなります。
後藤さん
仮に市場調査をしないまま広告を運用してしまうと、「競合に負けているのになんの施策も打たずに広告費をただ出してしまっている」という状態にもなりかねませんからね。
初芝
広告費を浪費しないためにも競合や市場の調査は重要なんですね…!

広告の予算はどうやって決めればいいの!?

初芝
では次に、実際に広告を組むまでの流れについても詳しくお聞かせください!

「ROASが3倍」を想定して広告費を考えよう!

後藤さん
まずはしっかり予算を決めることですね。
目標の売上に対してどれだけ予算を割けるか計算し、そこから広告をどう回していくかを考えなければいけません。
初芝
広告を組むときに予算をいくらにするかで悩む方も多いと思いますが、どう決めるのが良いのでしょうか?
後藤さん
結論「ROAS3倍」を目標に組むと良いでしょう。
初芝
ROASが3倍…ですか!?
後藤さん
はい、広告費に対してだいたい売上が3倍になるように組んでおくといいかなと思います。
たとえば売上目標が1,000万円なのであれば、準備するべき広告費は333万円という計算です。

「その日の調子」で広告費を上げたり下げたりしてはダメ。

後藤さん
一番良くないのは、売上が良いときに広告費を上げて悪いときに下げることですね。
広告は運の要素もありますし、根拠が全くない状態で広告費を調整するのはあまり得策ではありません。
初芝
そうなんですね…!
でも多くの方がやってしまいがちな運用でもある気がします…。
後藤さん
僕も最初はそれをやってたので気持ちはわかります(笑)
しかし、短期的な成果の変動で広告費を変えていたら、結局何が良くて何が悪いのかが検証しづらくなるんです。
初芝
目先の成果に一喜一憂せず、ちゃんと根拠を持って予算を組むことが大事ですね!

プル型とプッシュ型の媒体で広告を分けよう!

初芝
広告が配信できる媒体ってたくさんあると思うんですが、具体的にどんな媒体で広告を運用すればいいんでしょうか?
後藤さん
まず、広告媒体は大きく「プル型」と「プッシュ型」の2つに分類できます。
GoogleやYahooのリスティング広告はプル型で、その他のSNSなどで配信できる広告媒体が「プッシュ型」という位置付けです。

リスティング広告とは?
検索エンジンの検索結果に、ユーザーが検索したキーワードに連動して掲載される広告のこと。

初芝
順番に教えてください!

プル型広告の特徴

後藤さん
ユーザーの行動に対して悩みや課題を解決していくのがプル型広告の特徴です。
「あれ欲しいな」「何か食べたいな」と考えたとき、みんな自分の欲しい情報を求めてGoogleやYahooで検索をかけますよね。
後藤さん
だからプル型に位置するGoogleやYahooの広告は、ユーザーがある程度能動的に動いてはじめて表示されるようになっています。
初芝
たしかに、検索エンジンに表示されるリスティング広告はユーザーが検索しないと機能しませんよね。
後藤さん
ただ、同じ種類の広告であってもGoogleとYahooでそれぞれ違いがあります。
例えば、YahooのユーザーはGoogleのユーザーと比べて少し年齢層が高めなんです。
初芝
え!?そうなんですか!?
後藤さん
僕のクライアントの事例ですが、50代男性をターゲットとした商品をプロモーションした際に、Googleでは全然売れなかったのにYahooだとかなり売れたことがあったんですよ。
後藤さん
だから50代や60代がターゲットであればYahoo、若い世代だとGoogleが理想なのではないかと思います。

プッシュ型広告の特徴

初芝
では次に、プッシュ型の特徴も教えてください!
後藤さん
プッシュ型広告は主にTwitterやFacebookなどといったSNSで配信される媒体に多いんですが、それは「ビラ配り」に近い感覚です。
決め込んだターゲットに対して「こんなのあるよ!」とこちらから向かっていくのがプッシュ型の特徴ですね。
後藤さん
たとえばFacebookやInstagramのストーリーズ広告は、ユーザーが友達のストーリーを見ている間に割り込んで広告を露出できるので、相手が何か行動を起こさなくてもこちらから勝手に広告を表示させられます。
初芝
プル型とプッシュ型でユーザーへのアプローチ方法が大きく変わるんですね。

プッシュ型広告も媒体によって大きな違いがある!

初芝
なるほど…とても勉強になります!
特に最近はSNS媒体がアクティブになってきたこともあり、プッシュ型広告の種類も同時に増えてきたかと思います。
ただ、それぞれのSNS広告の違いってどんな感じなのでしょうか?

バズを狙うならTwitter広告が最適

後藤さん
おっしゃる通り、同じプッシュ型でも違いがありますね。
例えばTwitter広告は文字での訴求が強く、Facebook広告やInstagram広告では写真や動画を活用した訴求が強いです。
後藤さん
また、Twitter広告はバズが起こりやすいのも特徴的です。
ハッシュタグやリツイートの機能が拡散力を高めているので、イベントやキャンペーンの告知などをPRしたい場合はTwitter広告が向いているかもしれませんね!
初芝
たしかに、FacebookやInstagramで「バズる」という感覚はあまりないですもんね。

Instagram広告やFacebook広告の特徴は?

後藤さん
Facebook広告とInstagram広告でもそれぞれ特徴があります。
後藤さん
写真や動画といったビジュアルメインの広告であることは両者に共通してますが、マス層をメインにアプローチしたいならInstagram広告、そしてビジネスマンやアッパー層に向けてアプローチしたいならFacebook広告ですね。
初芝
たしかに!
よく両者の媒体を見てると配信されている広告のジャンルも違いますね!

TikTok広告では生活必需品がおすすめ!

初芝
では、最近日本でも広がりを見せている「TikTok」の広告にはどのような特徴があるのでしょうか?
後藤さん
TikTokは比較的若いユーザーが多いので、生活必需品や低単価な商品の広告が強いですね!
反対に高単価な高級ブランド品などは難しいのではないかと思います。
後藤さん
過去に、ローソンのLチキがTikTok広告ですごい成功した事例があります。
多くのユーザーが音楽に合わせてLチキを食べる動画をTikTokに投稿して、それが話題になりました。
初芝
TikTok広告は若い世代が好むような商品が売りやすいんですね!

広告のクリエイティブが運用の成果を決める!?

初芝
では次に、広告で使うクリエイティブについて、こだわるべきポイントなどあればお聞かせください!
特にSNS広告ではビジュアル的な訴求も多いですし、クリエイティブにもこだわるべきポイントがあるのかなーと思いまして…。
クリエイティブとは?
広告で使われる制作コンテンツのこと。バナー広告に使われる画像やテキスト広告の原稿を指す場合が多い。
後藤さん
クリエイティブの制作も広告の運用において大切な役割があります。
結局運用の内容がパーフェクトでも、お客さんが目にするビジュアル面にずれがあると見てくれません。
初芝
せっかく頑張って設計したのに見てもらえないともったいないですね…。
後藤さん
はい。
なのでお客さんが見やすいと思うクリエイティブを作るのはもちろんですが、広告媒体の世界観にマッチした内容にする視点も重要です。
初芝
広告媒体の世界観に合わせるとは、どういうことでしょうか…?
後藤さん
ここを理解するには、まず「SNSの運営側がプラットフォームをどんな世界観にしたいと考えているのか」をおさえておかなければなりません。
後藤さん
たとえばInstagramだと、おしゃれでファッショナブルなSNSを目指しています。
でもそこでおしゃれな世界観にそぐわない広告を出されると、Instagram側も良い広告として評価しづらいわけです。
初芝
なるほど…。
目では見えないところで評価されている可能性があると…。
後藤さん
Instagramのユーザーもやっぱりおしゃれでビジュアルの良い広告の方が興味を持ってくれるでしょうし、そういう点でクリエイティブにもしっかりとこだわるべきだと考えています。
初芝
クリエイティブの重要性がすごく分かりました!
では、クリエイティブを作るうえでおさえておくべきポイントはありますか?
後藤さん
広告運用をする側はデザインについてもある程度理解しておかなければなりません。
同じくデザイナー側も広告運用について理解しておく必要があります。
後藤さん
広告運用は「広告費×広告セット×クリエイティブ」の掛け算で結果が出ますから。
何が良くて何が悪かったのかを検証するためにも、チーム内で統一された知識や理解度が必要ですね。

さいごに:広告運用は計画と検証が大事!

初芝
では最後に、これから広告運用を仕事にしたいと考えている人に向けて一言お願いします!
後藤さん
広告運用をやるなら計画を怠らず、最後まで検証に妥協しないことが大事です!
何が良くて何が悪いのかを検証できないのが、失敗する一番の原因だと思いますしね。
初芝
失敗したことをそのままにするのも良くないですね。
後藤さん
そうですね!
失敗したときは「なぜ失敗したのか」を考えなければなりません
失敗も成功も全て分析して原因を理解していけるようになれば、徐々に広告運用も上手くなると思います!
初芝
後藤さん、本日はありがとうございました!

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