今話題のノーコード(NoCode)って?その特徴から未来まで、現役プログラマが徹底解説!

今話題のノーコード(NoCode)って?その特徴から未来まで、現役プログラマが徹底解説!

こんにちは、プログラマのとだこうき(@cohki0305)です。

最近ノーコード(Nocode)の話題を見ることがとても増えました。
Twitterでもそうですし、全国紙の新聞でも取り上げられたりしています。

また、東京フリーランスでもノーコード特化動画学習サービス”puzzlly“をリリースし、大勢の人がノーコードを学んでいます。

でも
「ノーコードって結局何が凄いの?」
「ノーコードで仕事がなくなるって本当?」
と、ノーコードのことがよくわかっておらず戸惑っている人もよく見かけます。

そこでこの記事ではノーコードの基本的な説明から、何が革命的なのか、これからどんな使われ方をしていくかについてみっちり解説しています。
具体例も出しながらわかりやすい説明を心掛けているので、5分もあれば読めると思います。

ノーコードに興味がある、ノーコードのことをもっと知りたいという人にとって目から鱗の内容になると思いますので、ぜひ読んでください!

ノーコード(NoCode)とは?

ノーコードとは、「コードを書かずにアプリやサービスを作れる技術」のことです。明確な定義はありませんが、一般的には上の意味で使われていることが多いです。

最近よく話題になるサービスには以下のようなものがあります。

有名なノーコードツール例

アプリ開発…BubbleAdaloGlide
Webサイト制作…WebflowStudio
ECサイト制作…Shopify

ノーコードは日経新聞を始め各誌で取り上げられるなど、話題になる頻度が急速に増えています。
しかし、実はノーコード自体は全く新しい概念ではありません。例えばコードを書かずにWebサイトを作れるサービスはWixをはじめ昔からあります。また、WordPressも広い意味でのノーコードと言えるでしょう。

ではなぜ”いま”になってノーコードが急速に盛り上がっているのでしょうか?
それには大きく三つの理由があると考えています。

何故ノーコードが”いま”急速に盛り上がっているのか?

理由①ノーコード開発ツールの進化&勃興

一つ目はノーコード開発できるサービスがどんどん進化していることです。
上に挙げたBubbleAdaloGlideなどは、どれも簡単にアプリ開発を可能にしてくれます。(Bubbleはやや複雑ですが…)

特にAdaloやGlideは本当に面白くって、PC上でポチポチしているだけで簡単なアプリを作れてしまいます。
先日東京フリーランス編集長の初芝にGlideを紹介したところ、初めて触ってから実質1時間でアプリを開発していました。

本当に直感的な操作でサクッとアプリを作れるサービスがどんどん現れてきているんです。

そしてこれがBubbleやAdaloなどの凄いところなのですが、バックエンドの実装もノーコードでできます
プログラミングを知らない人に向けて簡単に説明すると、通常のWebアプリはフロントエンドとバックエンドに分けられます。フロントエンドは画面上に表示される見た目部分、バックエンドは裏側の機能の部分を担当しています。例えばユーザー登録機能や決済機能などはバックエンドです。

これまでもノーコードでサイトを制作できるツールはありましたが、それはあくまでもフロント部分が中心でした。
しかし、最近のノーコードサービスではバックの複雑な機能もどんどん実装できるようになってきているんです。
さらにAdaloの場合はモバイルアプリにまで対応しています。

こうした革命的な進歩が行われており、海外では新しいノーコードサービスが毎日のように生まれていることが最近話題になっている理由の一つです。

理由②ノーコード開発による成功事例

二つ目はノーコード開発による成功事例が現れ始めていることです。

最近だと特別定額給付金申請のためのシステムを加古川市の職員が開発し、大幅な業務改善を実現したことがニュースになりました
記事によると”kintone“を使って約一週間で開発~公開までを実現したそうです。

ハイブリッド方式の導入で、職員の事務処理の手間は「めちゃくちゃ減った」(加古川市)という。申請用紙の処理やデータ入力の手間がないうえ、申請ページで市民が入力する項目をできるだけ減らしたことで、申請時のミスも減ったという。

このスピード感、通常の開発ならまずありえないですよね。通常ならPMやエンジニアやデザイナーなどでチームを組んで、お金も時間もたくさんかけて開発することになります。さらにバグがないかテストをするだけでも平気で数週間かかります。
それをたった一人で一週間でやりとげたのは、ノーコードならではと言えます。

また、東京フリーランスで先日取材した”SPOTTO”という就活支援アプリは、日本初となるノーコードアプリ買収案件となり話題を呼んでいました。

2020年、新型コロナウイルスの影響で社会は急激な変化を余儀なくされました。僕たちの「当たり前の暮らし」は過去のものとなり、新しい生活を作っていかざるをえない状況です。
社会が激動していく中で、スピーディーに新しいサービスを開発できるノーコードは多いに期待されていると言って良いでしょう。

理由③超大手企業のノーコード参戦

三つ目は超大手企業のノーコード参戦です。

近年Google、Amazon、Microsoftなどの名だたる大手がノーコードに力を入れ始めています。
2020年1月14日にGoogleはモバイルアプリケーションを開発できるプラットフォーム“AppSheet”の買収を発表し、同年6月25日にはAmazon Web Services(AWS)がノーコードアプリ開発サービス“Amazon Honeycode”を発表しました。

世界中のIT産業の中心にある超大手がノーコードに参戦するインパクトはとてつもなく大きいです。

個人的な意見としては、彼らはノーコードプラットフォームを一般の人が当たり前に使える社会を作ろうとしているんじゃないかと感じています。エンジニアだけじゃなく、普通の人でも使えるように。

最近のノーコードツールはめっちゃ簡単なので、Minecraftで遊んでる今どきの小学生なら一瞬でアプリを作れます。
彼らが本気を出してノーコードを普及させたら、アプリ開発で中学生が起業するなんていうのも当たり前になるかもしれません。

 

さて、ここまで何故“いま”ノーコードが話題なのかを説明してきました。
これからは本題の「ノーコードの何が凄いのか」を解説します!

ノーコードの何が凄いのか?

結論から言うと、ノーコードが一番革命的なのは「プロダクトの開発コストが格段に下がるため、ローリスクで新しいビジネスにチャレンジできるようになる」点です。
お金も時間もかからないからこそ、これまでビジネスにならなかったアイデアをカタチにしやすくなるんです。

「新しいビジネスにチャレンジしやすくなる」という点について、市場へ参入するフェーズ・適合するフェーズそれぞれ分けて説明していきます。

市場参入フェーズ:ニッチな市場に挑戦できる!

これが一番わかりやすいですね。
シンプルにお金も時間もかからないので、思いついたらどんどんサービスを開発してリリースできます。

実際の事例として、イギリスでは「音楽スタジオの貸出しサービス Studiotime」が、アメリカでは「船を持っている人と船着き場のマッチングサービス PierShare」がノーコードによって生まれたそうです。かなりニッチですよね(笑)

こういう「あれば自分はめちゃくちゃ欲しいけど、世の中で1000人くらいしかニーズないだろうなぁ」っていうサービス、思い描いたことがある人もいるんじゃないかと思います。趣味の世界だとありがちですよね。

僕もプログラマとしてよく「こんなアプリ作りたいんだけど…」って相談を受けることがありました。でも、「それだと500万円くらいするよ」って話すとみんな諦めてしまっていたんですね。そんなお金払ってもビジネスとして回収できないし、自分で作るには技術がないしって。

これまで非エンジニアが「新しいサービスを作ってビジネスをしよう!」と思ったとき、ある程度グロースさせることが前提でした。
自分で開発できない場合、融資なり投資なりで資金を準備してエンジニアを複数人雇い、数百~数千万円をかけて初期開発をすることになります。
そうなるとその金額に見合った額のリターンが生まれるビジネスである必要がありますし、「上場するくらいまでにグロースさせろ」と投資家に迫られることもあります。
つまり、「月10万円くらいの収入にはなりそうだけど、1千万くらいかかるな」というような規模感のサービスはそもそもスタートすることすらできなかったのです。

でも月10万円のサービスをノーコードで三日で作れるとなれば、そんなの作り得ですよね。
開発費の低下は損益分岐点の低下と同義です。
これはビジネスとして成立するラインが低くなったということです。
市場参入のハードルが下がり、「とりあえず作ろう」とアイデアをどんどん試せる時代になったと言えるでしょう。

適合フェーズ:PMFに向けて高速で改善できる!

PMFとは「プロダクトマーケットフィット」のことで、「顧客の課題を解決するサービスを提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態」を意味します。
要するに、サービスが市場にピタっとハマってる状態のことですね。

「最高に思えたアイデアが実はニーズなかった」
「アイデアは良かったけどプロダクトが使いにくいからユーザーがつかなかった」
などはスタートアップではよくあることです。
なのでスタートアップ、新規事業の初期フェーズではPMFを目指してサービス(プロダクト)を改善してくことになります。

ではどうやってPMFを目指すかというと、「プロトタイプを素早く市場に出し、ユーザーの反応を見ながら高速改善する」というのが最近の主流になっています。いわゆるリーンスタートアップ的手法ですね。
何年もかけて完璧なものができてからリリースしようとするより、リリースしてから修正する方が効率的に市場へマッチできるという考え方です。

そしてこのリーン的な開発手法とノーコードの相性が凄く良いんです。
ノーコードは修正がめっちゃ簡単でバグも起こりづらいので、ユーザーの要望を受けてすぐに反映させられるんですね。

以前東京フリーランスでノーコードアプリ”SPOTTO”の開発者へインタビューしたときも、「機能リクエスト」というボタンを設けてリアルタイムで要望を受けて改善していたという話を伺いました。

SPOTTOを買収した株式会社For A-career代表の浅尾さんは同記事で次のようにも語っていました。

弊社では他にも「HALTO」というサービスをリリースしましたが、その開発は9ヵ月もの期間となり、費用は3,000万円ほどでした。
さらに、一つの機能を公開してまたクローズするのに「8時間」の時間を要することもありました。

こういった事例を見ると、パッと出せてサッと改善できるノーコードの特異さがよくわかりますね。

 

ここまでノーコードの良いところばかり話してきましたが、当然弱点もあります。
これからノーコードの持つ三つの弱点を解説をしていきます。

ノーコードの弱点とは?

弱点①プラットフォームが潰れたら終わり

よく言われるノーコードの弱点は、「ノーコードプラットフォームが潰れてしまったら共倒れになってしまう」というものです。

「もしサービスが終了したらソースコードを提供する」という保証をしているところもありますが、いちエンジニアの立場からするとそれが本当に使えるレベルかは正直不安です。自動出力されたコードがぐちゃぐちゃだと開発が難しくなるので…。

Bubbleのように既に規模の大きいプラットフォームならあまり心配はいらないかもしれませんが、新興サービスを使うなら意識しておくべきリスクだと思います。

弱点②プラットフォーム利用料の引き上げに抵抗できない

これはSaaSあるあるですが、広く普及されたタイミングで利用料をグッと引き上げられるリスクもあります。
そうなるとサービスがグロースしていればしているほど、馬鹿にならない金額が飛んでいくことになります。

現状でも決済時に手数料を上乗せしたり、一定以上の利用数になると有料化したりしているサービスがあるのですが、それらも規模が大きいほど重くのしかかってきます。

プラットフォームに依存するということは首根っこ掴まれているのと同じです。
そして規模が大きくなるほどにプラットフォーム依存のリスクは増していきます。

弱点③複雑な実装をするには限界がある

僕が個人的に一番大きなポイントだと思っているのはこれです。
アプリケーション自体にコアなバリューを持たせる場合、ノーコードには限界があります。

メルカリをイメージしてください。
メルカリは機能的な面だけで言うと「フリマアプリ」で、ヤフオクをはじめ競合がたくさんいる領域です。

過当競争の中でもメルカリが勝てていることの大きな要因はそのUXが非常に優れているからと言えるでしょう。
画面遷移のスピード、ボタンの大きさ、レコメンドの精度など、数え切れないほどの改善を重ねてきたからこそ、ユーザーは特に意識することなく「なんとなく使いやすい」という体験を得られています。
実際にメルカリは週1でユーザビリティテストをして改善を繰り返しています

また、僕が以前開発に携わっていたアプリでは「咽頭の写真を撮ってインフルエンザか判定する」という機能があったのですが、このアルゴリズムは非常に複雑なのでノーコードだと実装できません。

このようにUIの改善、パフォーマンスの向上、機能の拡張をしようと思ったらコーディングがどうしても必要になる場面があるのです。

教育サービスや情報サイトのように、載せているコンテンツにバリューがある場合は多少不便でもユーザーはつきます。
けれど、使用体験やアルゴリズムそれ自体にバリューがあるサービスだと、ノーコードに限界を感じることがあるでしょう。

要はノーコードを使うことでメルカリっぽいアプリは作れるのですが、その「ぽさ」という若干の違いがサービスの価値を大きく変えることがあるということです。実際のところメルカリはフリマアプリとして後発だったにも関わらず、他のメルカリっぽいアプリよりも優位な立場を築くことができました。

作りたいサービスの本質的な価値がどこにあるか、それによってノーコードが潜在的に持つリスクの大きさも違ってきます。

 

ここまでノーコードの弱点を説明してきました。
でも正直な話、どれも本格的にグロースするときに浮かび上がってくる課題です。
「とりあえずテストマーケティングしてみて、上手くいくようなら本格的にプログラミングで開発しよう」といったプロトタイプ的な使い方をするならノーコードで全く問題ないでしょう。

ノーコードでプログラミングは不要になる?

「AIの流行で仕事がなくなる論」が流行ったみたいに、最近は「ノーコードでプログラミングがなくなる論」を見るようになりました。

でもいちプログラマの意見としては、プログラミングが不要になることはないと思います。
複雑な実装が必要なケースは必ずあり、その実装にはプログラミングが必要になるからです。それはさっき説明した通りです。

ただ、プログラミングとノーコードの共存は進んでいくとは思います。
例えばフロントはノーコードで作ってサーバー側はコーディングする、みたいに。あとはバックエンドではAPIをどんどん活用していくとか。

ノーコードはまだまだ黎明期です。
プログラミングが完全に不要になることはありませんが、開発上の存在感は段々と増していくでしょう。

ノーコードが流行ると稼げなくなる?

これについても僕は否定的です。

先日田端さんとのお話でも出てきましたが、インターネット黎明期は簡単なWeb制作で100万とか200万とか受注できていた時代がありました。

当時に比べ今はWordPressや色んなフレームワークが出てきて開発のしやすさが飛躍的に上がりましたが、それでも高単価で受注できている人はたくさんいます。
それは何故かというと、デザインやマーケティング、お客さんとのやり取りなど他に付加価値をつけられているからですね。

「現場の最前線でどう作っているか」はお客さんが気づきにくいところですし、それよりも「その技術を使ってどんな価値を提供できるか」の方が重要です。なのでノーコードを使いこなして価値提供ができれば、むしろ武器になると思います。

また、ノーコードを使った小規模開発が流行ればこれまで開発会社が受けていた案件が個人に流れてくるかもしれません。Web制作やWebマーケティングの領域で実際に起きている現象ですね。
そうなるとやはり個人にとってはビジネスチャンスとなるでしょう。

「ノーコードの流行で稼げなくなる」と怯えるのではなく、また「ノーコードなんか使えない」と敵視するのでもなく、便利な道具が増えたと思って上手に使うのが吉ですね。

ノーコードはどうやって学べばいい?

まずは作りたいものを作ってみましょう!
ひたすらインプットしたり同じようモノばかり作ったりするのは効率が悪いです。
このあたりは通常のプログラミング学習と同じですね。
特にビジネス的な視点で「こういうのあるとこういうニーズありそうだよね」と考えて作れると尚良しです。

日本語の学習コンテンツとしては、東京フリーランスが運営しているpuzzllyがおすすめです!(手前味噌ですが…w)
「インスタ風アプリ」や「Airbnb風アプリ」など、色んなアプリの作り方を全編動画で解説しています。
あとはNoCodeYouTuberしんじさんのYouTube「NoCodeSchool-ノーコードスクール-」も解説がわかりやすくおすすめです。

英語ができる人はMakerPadなどで英語の情報を取りに行くのもありです。日本よりもずっと多く情報があります。

おわりに:ノーコードは世の中をどう変える?

ビジネスセンスのある優秀な個人がますます活躍しやすくなる時代になると思います。
これまではアプリで起業しようとしたら、出資を集めて投資家から詰められながら開発するという流れでした。
でも、個人でサクッと開発できるようになれば、ビジネスアイデアやマーケティングで勝負することが可能になります。

失敗のリスクが小さくなるからどんどん挑戦ができるし、グロースが至上命題にならないからスモールビジネスもしやすい。
2010年代はSNSやYouTubeの流行で「情報とキャラ」で個人が輝ける時代になりましたが、2020年代は「ビジネスセンスとマーケティング」で活躍する個人が増える時代になると思います。

アプリ開発が民主化し、個人が自分で身近な問題を解決できるようになる。
そんな時代が来るかと思うと、今からワクワクしますね!

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