10年後、誰もがノーコード開発をする時代が来る!?日本初のノーコードアプリ買収となった「SPOTTO」の開発秘話を徹底取材!

10年後、誰もがノーコード開発をする時代が来る!?日本初のノーコードアプリ買収となった「SPOTTO」の開発秘話を徹底取材!

今回は、日本初となるノーコードアプリの買収劇で話題を集めた株式会社For A-career代表の浅尾洋伸(@ASAON4)さん、そしてノーコードアプリ「SPOTTO」を同社へ売却した連続起業家のノーコード博士さん(@nocodehakase)にお話を伺ってきました。

プログラミングに携わる人なら、一度は「コーディング不要」と称したツールなどを見かけたことがあるのではないでしょうか。

そう、それが「ノーコード(NoCode)」と呼ばれるムーブメントです。

ノーコードとは、コーディングなしでサイトやアプリを開発すること。このノーコードは海外でも急速に普及を遂げており、今やプログラマーをやるなら絶対に知っておかなければならないトピックとなりました。

東京フリーランス一同も最近はノーコードに注目していたのですが、ノーコードアプリを開発して買収・売却までされた人を目にするのは初めてのことだったので、興味が湧かずにはいられませんでした…!

そこで今回は、初の買収案件として話題騒然となったノーコードアプリ「SPOTTO」についてや、ノーコードで開発を行うメリット、将来性までを網羅的に聞いていきます!

浅尾さん
【インタビュイープロフィール】
浅尾さん(@ASAON4)
株式会社For A-career 代表取締役
店舗などの空きスペースを、広告枠として誰でも売買できるWEBプラットフォーム「HALTO(ハルト)」を展開している。
また、SPOTTOの買収劇では国内だけでなく、海外からも注目を集める。
ノーコード博士
【インタビュイープロフィール】
ノーコード博士さん(@nocodehakase)
連続起業家として数々の事業を売却してきた他、サイバーセキュリティの専門家として政府公的機関にて技術顧問を務める。
SPOTTOの売却で、日本初ノーコードアプリ買収案件として話題を集める。
初芝
【インタビュアープロフィール】
初芝賢@hatushiba_ken
東京フリーランス編集長。現在はシステム開発のPMや新規事業に携わる一方で、フリーランスライターとして出版・キャッチコピー・WEBメディア連載などを手掛けている。東京フリーランスではインタビュアーや司会進行を務めることが多い。

ノーコードで作られた無料就活アプリの「SPOTTO(スポット)」とは?

初芝
本日はよろしくお願いします!
早速ですが、ノーコードで作られた「SPOTTO」は一体どんなアプリなのでしょうか?
浅尾さん
SPOTTOとは、オンライン選考に対応した企業と学生とをマッチングさせる就活アプリです。

出典:SPOTTO

浅尾さん
SPOTTOを利用すれば、学生は説明会やインターンシップ、選考などのプロセスを全てオンライン上で完結させられるので、交通費や宿泊費をかけることなく就活ができるようになります。

出典:SPOTTO

初芝
なるほど、それは便利ですね!
就活って地方の学生だと説明会や面接の度に上京しなきゃなりませんでしたし…。
浅尾さん
そうですね。
Web上で就活を完結できるようなプラットフォームはまだ少なく、Web説明会やWeb面接に対応する企業でさえもごくわずかでした。
なので企業毎にログイン方法などが異なり、学生にとっては色々と面倒な部分が多かったと思うんです。
浅尾さん
それに、企業側もオフラインで説明会を実施するとなれば、大手人材ポータルへ数十万円規模の費用を支払ってブースを設ける必要がありました。
しかし、SPOTTOならリアルでの採用活動が不要となり、安価なコストで採用をオンライン完結できるようにます。
初芝
それはすごい…!
SPOTTOを活用すれば、説明会から面接〜内定までのフローが一つのアプリケーション内で一元管理できるということですね!

「オンライン就活」をもっと世に広めたかった。

初芝
では、浅尾さんがSPOTTOを買収しようと考えられたきっかけについてお聞かせ頂けますか?
浅尾さん
弊社は20代の転職支援事業を展開していましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、就活中の学生さんから就職に関する相談が急増したんです。
浅尾さん
中にはオフラインでの説明会や面接をストップする企業もありました。
そこで、転職・就活をされる方々への手助けをしたいと思い、オンラインで就活が完結する「SPOTTO」を活用したいと考えたんです。
初芝
なるほど、新型コロナをきっかけに企業と学生が出逢える場所を作ろうと考えられたのですね!
今はどのくらいの企業が参画されてるんでしょうか?
浅尾さん
現在は約150社の企業様に活用頂いております。

素早くサービスをリリースできることがノーコードの魅力

初芝
では、SPOTTOの買収についてもう少し深くお伺いしたいのですが、そもそもなぜノーコードのアプリを採用しようと考えられたのでしょう?
浅尾さん
とにかく素早くサービスをリリースしたいと考えたからです。
当時は「1秒でも早く就活生を手助けしたい」と思っていたので、何よりも開発のスピードを重要視していたんです。
浅尾さん
速度を重視した開発をしていくにあたり、知人からノーコードについて教わっていたのですが、そこで紹介頂いたのがノーコード博士でした。
初芝
知人を通じて二人は出会われたのですね!
ノーコード博士
そうじゃの。
元々企業と働き手を繋ぐマッチングプラットフォームの雛形を作っておったんじゃが、浅尾氏と出会った後はすぐにオンライン就活アプリの構想を練って開発へ着手したぞい。
そこで、構想していたものがある程度カタチになって、浅尾氏が買収したというわけじゃ。
初芝
すごいですね!
普通は開発にものすごくコストがかかっちゃうし、すぐに着手していくのは難しいと思いますが、そういったスピード感もノーコードならではなのでしょうか?
ノーコード博士
その通りじゃ。
開発の工数や費用面もかなり節約できるからの、ノーコードは時間の短縮やコストの削減に繋がるんじゃぞい。

ノーコードこそプログラマーの“クリエイティビティ”を引き出す

初芝
ノーコードは開発の費用や時間も大幅にカットできるとのことですが、ぶっちゃけかなり楽に開発ができてしまうんじゃないですか…?
ノーコード博士
そうじゃの。
もちろん工数を削減できるという面では開発が楽になるけどのう、その分クリエイティビティを必要とする部分に頭のリソースを投下できるようになるんじゃ。
初芝
それってどういうことでしょうか?
ノーコード博士
プログラミングは大きく「ロジックを組み立てる部分」と「コードを書く部分」の2つに分けられる。
しかしじゃ、ノーコードなら文字通り「コードが不要」やからの、「ロジック」だけに注力すればよくなるんじゃぞい。
ノーコード博士
コードを手で書いていると入力ミスなんかで頻繁に「バグ」が発生してしまうじゃろうが、バグはプログラマーのクリエイティビティを阻害することになりかねんのじゃ。
初芝
確かに、コードを自分で書いてると「:」が一文字抜けてただけでもエラーになるので、それがストレスに感じるし、無駄な部分に労力をかけちゃいますよね…。
ノーコード博士
そうじゃ。
しかし、ノーコードならコードの手書きによるエラーの懸念が無くなる。
すなわち、アプリを開発している間はずっとクリエイティビティが必要な部分にフォーカスしていけるというわけじゃ。

たった3日でフレームワークが作れる世界

ノーコード博士
もちろん、ノーコードは“めちゃくちゃ速く開発できる”という部分もメリットの一つじゃがの、普通じゃ不可能なレベルで開発速度を上げられるんじゃぞい。
初芝
SPOTTOはどのくらいの期間で開発したんですか?
ノーコード博士
アプリのベースとなるフレームワークが完成したのは3日だったぞい。
初芝
え、めちゃくちゃ速いですね!
ノーコード博士
とはいえ、アプリケーションそのものを完成させたのは1週間で、そこからデザインを修正しながらPDCAを回しておったからの、トータルで費やした開発期間は1ヶ月ほどじゃな。
初芝
1ヶ月でも相当速いと思います…(笑)
しかし、ノーコードアプリのクオリティはどうなんでしょう?
落ちたりしないんですか?
浅尾さん
僕は「ノーコードで開発されているけどクオリティが低い」みたいな状態だったら買収してませんでした(笑)
実際に完成したアプリを見てみると、ノーコードだと気づかないくらいのクオリティだったんですよ。

ノーコードならユーザーの意見をすぐに取り入れて改善できる

初芝
では、SPOTTOをグロースするにあたり、どうやってアプリを検証していったんでしょうか?
浅尾さん
実際にアプリ使ってもらいながら、修正や改善を繰り返していましたね。
浅尾さん
最初は学生さんに利用してもらいましたが、「この検索画面が見づらい」「項目が足りない」といった指摘をたくさん頂きました。
そこで、要望頂いた修正を1日もかからないくらいのスピードで対応していったんです。
浅尾さん
何なら、打ち合わせしている最中にすぐ修正してくれたりもあります(笑)
ですが、修正を繰り返している内にどんどんサービスが改善されていきましたね。
初芝
それすごいですね(笑)
まるでデザインツールを触ってるみたい…。
浅尾さん
あとはアプリ上に「機能リクエスト」というボタンを設け、アプリを活用する学生や企業がリアルタイムで要望を投げれるようにもしましたね。
アプリに関して何か要望があった際、可能な限り一件一件のリクエストに対しすぐに実装できるようにしました。
初芝
なるほど!
それもすごい!
浅尾さん
なので、日々走りながら改善していますね(笑)
ノーコード博士
まさに飛行機を先に飛ばしながら作っているような状態に近いじゃろうな。
羽と胴体だけを先に作って飛ばしながら、中の客室を作っていくみたいな感覚じゃ。
初芝
「すぐに改善してPDCAを回していける」という部分も、ノーコード開発のメリットですね。
ノーコード博士
うむ、ユーザーの意見をすぐに取り入れて改善できる部分は魅力じゃぞい。
A/Bテストもすぐにできるし、意見を言ってくれた人にすぐに使ってもらえるからの。
普通の開発では見られない開発方法がノーコードならできるんじゃ。
浅尾さん
弊社では他にも「HALTO」というサービスをリリースしましたが、その開発は9ヵ月もの期間となり、費用は3,000万円ほどでした。
さらに、一つの機能を公開してまたクローズするのに「8時間」の時間を要することもありました。
浅尾さん
開発を業務委託していた場合、8時間分の時給を計算してコストを支払う必要がありますが、そこまで時間とお金をかけたからといって、リリース後にサービスが市場で受け入れられるかもわかりませんからね…。
初芝
そうですね…。
その分、ノーコードならスピーディーに世の中に出せますよね。
ノーコード博士
デザインの作成からリリースまでが非常に楽じゃし、3回のクリックでリリースまでできるんじゃぞい。
着想から実装までのスピードが速くなれば、アイデアもどんどん集まるようになるからの。

アイデアを即カタチにする「ノーコードハッカソン」も開催

ノーコード博士
ノーコードなら思い付いたアイデアをすぐにアプリへ落とし込めるからの、アイデアをすぐカタチにしたいという想いで「ノーコードハッカソン」を開催したんじゃ
初芝
ノーコードハッカソン、ですか!?
ノーコード博士
そうじゃ。
Twitter上で「#ノーコードハッカソン」と共にアイデアを投稿してもらい、投稿されたアイデアを基にそれをノーコードでアプリにしていくというものじゃ。

出典:No Code Japan

初芝
それめちゃくちゃ面白そうですね!
僕もハッカソンの経験はありますが、アイデアを出して見た目の部分を構想するだけでしたので…。
ノーコード博士
このハッカソンは2部制で、アイデアソンと、制作ハッカソンに、わかれておる。
アイデアソンは、約100個ほどのアイデアが集まり、先週、かなり盛り上がったぞ。
ノーコード博士
今週は、アイデアソンで選ばれた3つのアイデアをもとに、自分なりに拡張、解釈したアプリをノーコードで開発し、公開するという、制作ハッカソンを現在進行中で、開催しておる。
詳細はこちらから確認してくれ。
この記事の公開が早ければ、まだ参加できるはずじゃ。

ノーコードの将来性について

初芝
次にノーコードの将来性についてお伺いしたいのですが、今後ノーコードはどうなっていくと思いますか?
ノーコード博士
今から10年後には、「誰もがノーコードで開発できる」という時代が来ると思っておる。
今ノーコードが注目されているのは「黎明期」だからなんじゃが、これからはもっと当たり前になっていくぞい。
初芝
なるほど。
では、今後「コードを書く」というプロセスはもう消えていくのでしょうか…?
ノーコード博士
いや、全てがノーコードに置き換わるわけでもなさそうじゃ。
というのも、本質的には開発がノーコードだろうと通常のコードだろうと関係なく、ぶっちゃけどっちでも良いんじゃよ。
初芝
どっちでも良いんですか…?
どういうことなんでしょう?
ノーコード博士
大事なのは、ユーザーにどれだけ早くフィードバックをもらって改善していけるかじゃ。
構想したプロダクトを早く実行できる「スピード感」が何より重要で、それを踏まえた上でノーコードだと速くできるってだけなんじゃよ。
初芝
確かに、あくまでノーコードは目的ではなく「手段」なので、プロダクトによって検証方法が異なる場合もありますよね。
ノーコード博士
わしらもユーザーのフィードバックを最も早く検証できる方法について、ビジネスモデルごとに毎回判断しておる。
各プラットフォームの特徴はそれぞれ違うじゃろうから、ノーコードにこだわらず「どの手法が仮説に対して最も早くアプローチできるか」にフォーカスして選定しておるぞい。
ノーコード博士
だから、ノーコードかどうかなんてどうでもいいんじゃ。
「こういうサービスがあったらいいな」をどれだけ早くカタチにできるかが何よりも重要やからの。

さいごに:SPOTTOの今後について

初芝
最後になりますが、SPOTTOにおける今後の展開についてお聞かせください!
浅尾さん
SPOTTOを通じて、これから就活をしていく学生たちの可能性をスケールできるアプリにしたいですね。
浅尾さん
新卒採用したいけど採用できないベンチャー企や、就活をしたいけど金銭的理由で難しい学生はたくさん存在しています。
僕もバイトでお金を貯めながら、泊まり込みで東京へ就職活動をしていた過去がありますが、もうそういう時代はもう終わると思っています。
浅尾さん
SPOTTOが一般的になれば、Web上で面接から内定までもらえる人が増加して、学生の就職活動や企業の採用活動が共に活発化するでしょう。
そうすれば、地方の学生でもチャレンジする人が増えるし、企業側も地方の優秀な人材にアプローチできるようになると思います。
ノーコード博士
今後はもっとノーコードを盛り上げていきながら新規の参入者を増やしていきたいぞい。
参加者が増えんと、ノーコードのマーケットも拡大していかんからのう。
引き続きノーコードハッカソンやイベントもどんどん開催していくぞい。
初芝
浅尾さん、ノーコード博士さん、本日はありがとうございました!

SPOTTOで就職活動や採用活動を“オンライン完結”させよう!

株式会社For A-careerと株式会社PicUAppが手掛けるオンライン就活プラットフォームのSPOTTOは、企業説明会から面接、内定までを全てオンライン上で完結できる全く新しいスタイルのアプリケーションです。

採用担当者
オフラインで説明会やインターンシップを実施するにも費用がかかるな…。
大学生
就活の度に毎回東京へ行くのは大変だな…。

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