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- 2025.01.20
フリーランスとして活動を始めて、こうした疑問を抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。
結論から言って、契約書を交わさなくても仕事を受けることは可能です。
しかし、契約書がないと痛い目にあう可能性が高まるといえます。なぜでしょうか?
今回は、フリーランスが契約書を作ったほうがいい理由や契約書に記載する内容などについて解説します!
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フリーランスは契約書を作ったほうが安心!
まず結論から言うと、フリーランスとしてクライアントさんとお仕事をする際、契約書は作ったほうが安心です。
仕事を受ける際、契約書は必須というわけではありません。実際に口約束やメッセージのやりとりだけで仕事を始めることもよくあります。また「雇われるフリーランス側から契約書について提案するのは失礼なのでは?」と考えている方もいるのではないでしょうか?
ではなぜ契約書を作ったほうが安心なのか、解説していきます。
契約書を作るメリット
契約書を作ったほうがいい理由には、以下の2つが挙げられます。
- トラブルを回避できる
- お互いに信頼感が高まる
紙に記さず口約束だけだと、クライアント側・フリーランス側で以下のようなトラブルが発生する可能性が考えられます。
クライアント側
- 納期までに納品されなかった
- 希望していたものとまるで違うものが納品された
フリーランス側
- 何度も修正を要求されて対応に時間がかかった
- 報酬がいつまで経っても支払われない
雇う側・雇われる側の権利や義務を契約書上で明らかにしておけば、トラブルの回避に役立ちます。契約書に記載すべき内容についてはのちほど詳しく解説しますが、業務範囲や料金・報酬体系などについてはあらかじめきちんと決めておきたいもの。
お互いの権利や義務が明文化されていれば、雇う側・雇われる側どちらも信頼して仕事を進められるでしょう。
契約書を作るデメリット
フリーランスにとっては、安心して仕事をできること以上にいいことはないかと思います。そのため、契約書を作ることによるデメリットというデメリットはありませんが、あえて言うなら、管理に手間がかかることが挙げられます。
紙の契約書の場合、郵送で送付したり、紛失しないように注意したりする必要があるため、こうしたことが手間だと感じる場合はデメリットとなり得るでしょう。
しかし最近では電子契約書もあるので、それで契約を交わせれば管理の手間はほぼ不要です。電子契約については、のちほど詳しく解説します。
業務委託の契約内容は請負・準委任の2種類
フリーランスが仕事の際にクライアントと結ぶ契約は、業務委託契約です。業務委託契約には、おもに請負・準委任の2種類があります。
請負契約と準委任契約でどのような点が異なるのか、見ていきましょう。
請負契約の事例
請負契約は、仕事の完成(成果物の納品)が目的となる契約です。代表的な業務としては、以下のようなものがあります。
- 翻訳業務
- ライティング業務
- ソフトウェア開発業務
- デザイン制作業務
- ホームページ制作業務 など
ただこうした業務も、内容によっては準委任契約とされる場合もあります。
請負契約の場合、フリーランス(雇われる側)は不具合がないもの・クライアントの意向に沿ったものを納品する義務があります。
この義務を、契約不適合責任(2020年4月1日より前は「瑕疵担保責任」)と言います。
準委任契約の事例
準委任契約は、事務処理が目的となる契約です。事務処理が問題なく遂行されれば、目的は果たされたことになります。代表的な業務としては、以下のようなものがあります。
- 通訳業務
- 写真撮影業務
- コンサルティング業務
- カウンセリング業務
- 診療業務 など
準委任契約の場合、契約不適合責任は課されません。
「請負」と「準委任」についてより詳しく知りたい、注意点なども見ておきたい方はこちらもあわせてご覧ください。
「請負」と「準委任」の違いとは?フリーランスが受注するときに絶対知っておくべき法知識を解説! ちひろ先生の法律相談所vol.2
業務委託契約書には何を記載する?
業務委託契約書には、どういった項目が記載されていれば十分なのでしょうか。
ネット上で配布されている業務委託契約書のテンプレートを利用することもできますが、以下に挙げる項目が記載されているかどうかはきちんと確認したいところ。
一つずつ見ていきましょう。
業務範囲の設定
契約の段階で、業務範囲をどこまでとするかをはっきりさせておきましょう。
たとえばライティングであれば、記事の画像選定や入稿作業まで対応するのか、Webサイト制作であれば、納品後のサイト更新まで含まれるのかどうかといった点です。
最初に業務範囲(加えて、それを越える業務を行う場合の報酬)を決めておかないと、「追加でこれもお願いします」といろいろ頼まれたのに報酬は同じ…といった事態になりかねません。付随して起こりそうな業務も予想して、クライアントともよく話し合って決めるようにしましょう。
料金・報酬体系
契約においてもっとも重要ともいえる料金や報酬体系。
消費税や源泉徴収、支払い期限(「稼働月の翌月末まで」など)、振込の際の振込手数料(どちらが負担するのか)などについては、トラブルにもなりやすいため、あらかじめクライアントに確認し、契約書に記載するようにしましょう。
具体的な金額については、「仕様書に定める通り」「別途協議の上決定した金額」など、契約書上では触れない場合もあります。この場合は指示に従い、仕様書や協議内容をしっかり確認しましょう。
着手金やキャンセル料
仕事開始前に着手金として報酬の一部を受け取ることで、フリーランスは全額報酬が受け取れなくなる心配がなくなります。クライアント側も、先に報酬の一部を払っている分、きちんとした成果物を求めやすくなります。
お互いにとって安心材料になり得る着手金ですが、場合によってはトラブルの原因となることも。着手金を希望する場合は、まず着手金は報酬のどの程度の金額とするのかということを設定する必要があります。
それ以外に、フリーランス側の都合でキャンセルする場合とクライアント側の都合でキャンセルする場合、それぞれのケースにおける着手金の取り扱いについても記載しておきましょう。
たとえば、クライアントによっては、諸事情で途中キャンセルすることになるケースも考えられます。「時間もお金もかけたのに…」とならないよう、クライアント都合による途中キャンセルの場合、着手金は返金しないなど、あらかじめ断っておくことも大切です。
納品や修正対応、検収について
納品した後、成果物が発注書やレギュレーションに沿っていればそのまま検収となる場合もあります。
しかし、何らかの修正対応が求められる場合も少なくありません。契約書を交わす際は、修正が発生することを仮定して、何回まで無償で対応するのかを決めて記載しておきましょう。
また、クライアントの手が回らず、なかなか検収されないケースも考えられます。そうした場合に不利益を被らないよう、「納品後○日以内に連絡がない場合、問題なく納品されたとする」というような内容も含めておくことをおすすめします。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)
契約内容の部分でも触れましたが、成果物を納品することを目的とする請負契約の場合、契約不適合責任(瑕疵担保責任)が発生します。
制作者のミスで不具合が生じた場合、○日以内(一般的には90日)であれば無償で修正対応することを示す項目です。
初期的な不具合の場合やクライアント側ですでに何か手を加えた場合は除くなど、条件も明確に記載しておきましょう。
成果物の権利について
一般的には、成果物を納品し報酬が支払われた時点で著作権はクライアント側に渡ると定めている契約書が多くなっています。
しかしイラストや写真など、納品後も制作者に著作権が残り続けるものもあります。二次利用を禁止したり、画像加工を許可する範囲を定めたり、フリーランス側が不利にならないよう、そういった点も明確にしておくようにしましょう。
秘密保持契約
業務を行ううえで知り得た内容について、他の業務に用いたり第三者に知らせたりしないことを定める契約です。
より細かく定める場合は、業務委託契約書の他に秘密保持契約書(NDA)を交わすこともあります。
フリーランスの契約書、電子契約もあり?
契約書を交わすデメリットとして、契約書の管理の手間が発生することをお伝えしましたが、最近では電子契約書も使われるようになってきています。
「手間がなくて便利ならそっちがいい!」という方もいるかもしれませんが、まず一通り電子契約について知っておきましょう。
紙の契約書と電子契約書の違いや電子契約の注意点について見ていきます。
紙の契約書と電子契約の違い
紙の契約と電子契約の大きな違いとして、かかるコストが挙げられます。
紙の契約書には収入印紙税がかかりますが、電子契約書にはかかりません。また、電子契約であれば郵送代や印刷代も削減できます。
また、紙の契約書では契約締結までに時間がかかることもありますが、電子契約はすべてオンラインでできるため、紙の契約書を交わすよりもスピーディーに進みます。
電子契約をする際の注意点
まず、クライアント側が電子契約でも可能かどうかを確認する必要があります。契約によっては、電子契約が認められていないものも。
また、現在ではさまざまな電子契約サービスが展開しています。月に数件程度であれば無料の範囲内で利用できるものもありますが、頻繁に契約書を交わすようであれば、有料プランも検討することになるでしょう。その際、有料プランを利用して費用対効果が得られるのかといったことも考える必要があります。
フリーランスの契約書に関するまとめ
契約書作成は絶対ではありません。しかし、作ったほうがフリーランスにとってもクライアントにとっても安心材料になり、仕事もスムーズに進めやすくなることが考えられます。
契約書を交わす際は、契約後に「こんなはずじゃなかったのに…」といったことにならないよう、記載しておくべき内容もしっかり確認しましょう。
紙の契約書の保管が不安な方は、電子契約についてもチェックしてみてくださいね。
今まで契約書を交わさずに仕事をしたこともあったけど…。